エースが文句なしの大仕事だ。巨人・菅野智之投手(29)が14日、4―0で勝利したCSファーストステージ第2戦のヤクルト戦(神宮)で、CSや日本シリーズなどポストシーズン史上初のノーヒットノーランを達成した。右腕の活躍でチームは下克上日本一への第一関門を連勝突破。2年連続の沢村賞選出も確実な最強エースに向けては、ついに身内からも「早くメジャーへ行かせてやるべきだ」と後押しする声が上がった。
最後の打者・坂口を中飛に打ち取ると、菅野は雄たけびを上げ、両手を天に突き上げた。お立ち台では「最高の気分です。何と表現していいかわからないですけれど、達成感はすごくあります」。
満面の笑みを浮かべ、流れる汗を拭った。高橋由伸監督も「何と言っていいのか分からない。言葉が出ない」。賛辞の選択に困ってしまうほどのまさに圧巻の投球だった。
7回二死までは完全試合ペース。CSの緊張感と大記録への期待で、球場は異様な空気に包まれていた。惜しくも山田哲に四球を与えたが、菅野の気持ちは切れない。
「途中から完全に狙っていたので、四球はもったいなかったけど…」。続くバレンティンを冷静に空振り三振に斬ると、両手をパーンと合わせて気合を入れ直し、28人で試合を終わらせた。CSでのノーヒットノーランは史上初の快挙だ。
菅野はこれでレギュラーシーズンから5試合連続無失点で、先発4試合連続の完封勝利。41イニング連続無失点と無敵を誇っている。シーズンは15勝8敗で最多勝、防御率2・14もトップで終え、投手タイトルをほぼ総なめ。
沢村賞の選考基準である7項目(15勝以上、150奪三振以上、10完投以上、防御率2・50以下、200投球回以上、登板数25以上、勝率6割以上)も全てクリアし、2年連続の選出が確実視されている。
エースの無双ぶりに、ついには身内のナインからもメジャー挑戦の希望を後押しする声が上がり始めている。主力の一人はこう訴える。
「もちろん、戦力としては残ってほしいに決まっています。でも智之個人とすれば、もう日本での“勝負付け”は終わったでしょう。FAまで待たずに、球団もポスティングを許可してあげましょうよ。『カネじゃなく、夢のために送り出す』って言えばいいじゃないですか」
順調にプレーを続ければ、菅野が海外FA権を手にするのは3シーズン後の2021年中。「権利を手にしてから堂々と海を渡ればいい」との声もある。だが前出のナインは「この先3年も日本で続ける意味を見つけるのは大変なはず」と右腕の心中を思いやるのだ。
チーム内からそんな声が上がるのは無理もない。昨年まで3年間、菅野ともに巨人のWエースとして活躍したマイコラスが今季、カージナルスに移籍。開幕6連勝スタートすると、最終的に18勝(4敗)を挙げ、ナ・リーグ最多勝に輝いた。
元助っ人右腕は「菅野とプレーできたことも勉強になった」と感謝している。間近で2人を見ていたナインは“菅野もマイコラスくらい勝てる”と確信しているのだ。
来季監督就任が決定的な原辰徳氏は菅野の伯父。さすがに指揮官復帰のシーズンに、まさか自分が抜けるわけにはいかないだろう。それでもエースとしての仕事を来年も果たし続ければ、この先は「最高の後援者となってくれる可能性もある」というのが周囲の見方だ。
試合後のエースは、ファンに向け「一緒に広島へ行きましょう!」と声を張った。今は由伸巨人の一員として、最後まで力を振り絞る。それでも味方もうなるしかないこの日の快投で、夢にはまた一歩近付いたに違いない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181016-00000005-tospoweb-base
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