未来志向の関係構築をうたった「日韓共同宣言」が発表されてから今月で20年となった。
両国の交流は進み、人の往来はますます盛んになっている。だが、慰安婦問題をはじめ歴史認識を巡る対立がくすぶり続ける。「反日」世論と「嫌韓」感情。両国の国内には今も深い溝が横たわっているのは確かだろう。とはいえ、北朝鮮の非核化や拉致問題の解決と東アジア地域の安定のためには日韓の連携と協力が欠かせない。
安倍晋三首相は先の共同宣言20周年記念シンポジウムで、両国に懸案があることを認めつつ、「関係発展のため文在寅大統領と共に努力していきたい」と述べた。
政府が韓国との連携を改めて打ち出した今、宣言の精神に立ち返って隣国として関係を深化させる必要がある。
共同宣言は1998年に署名され、小渕恵三首相(当時)が日本の植民地支配への反省とおわびを表明した。金大中大統領(同)はこれを評価し、未来志向の関係を発展させるための努力を強調した。
宣言以降、両国の関係は大きく変化した。
韓国では日本の大衆文化が解禁され、アニメや音楽が人気を集めた。日本でもドラマなど韓流ブームが起きた。民間レベルの交流や相互理解が進んだ。
宣言が果たした役割と意義は高く評価されよう。だが、2012年に当時の李明博大統領が竹島に上陸すると両国関係は一気に冷え込んだ。懸案の慰安婦問題では15年の日韓合意で「最終解決」を確認したものの、昨年5月に大統領に就任した文氏が履行せず、両国関係に影を落としている。
最近も、韓国が実施した国際観艦式で、海上自衛隊が自衛艦旗(旭日旗)の掲揚を自粛するよう求められた問題が、あつれきを生んだ。
韓国内の世論に政治が配慮した面はあるだろうが、内政事情を他国に振り向けるような手法は関係改善を阻害しかねない。
懸念されるのは、日本の植民地時代に動員された元徴用工が日本企業に賠償を求めた訴訟の行方だ。韓国最高裁が30日に判決を言い渡す。
この問題は日韓両政府とも「解決済み」との立場だが、日本企業に賠償を命ずる判決が出れば経済など両国関係の土台が揺さぶられる可能性もある。
両政府は知恵を出し合い、冷静に対応していく必要がある。
日本側も韓国内に残るわだかまりに留意したい。日韓合意の履行をかたくなに求めるのではなく、謝罪の意が元慰安婦らに届くように努める責任がある。
在日コリアンへのヘイトスピーチ(差別的言動)が社会問題化しているが、排外主義的な言動は認められるものではない。
安倍氏と文氏は、頻繁に相互訪問する「シャトル外交」を再開する意向を示している。腹を割って政治対話を深め、関係進展の糸口を模索してほしい。
一朝一夕にはいかないが、両国が歩み寄り、お互いに敬意を払い、違いを認め合う努力が必要だ。未来志向で新時代を切り開いていきたい。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181028-00000008-kyt-l26
ネットの反応
過去数十年間の未来志向の努力の結果が今なんだが。