女性受刑者の高齢化が進み、女性刑務官の介護負担増が課題となっている。東北唯一の女性刑務所「福島刑務支所」(福島市)でも、介護業務が離職につながる例が目立つ。
逃走防止などの「戒護」から「介護」へと業務の比重が移りつつある中、同支所は負担減と離職抑制に力を入れ始めた。(報道部・荘司結有)
刑務官に関心を持つ女子高生らを対象とした見学会が8月、同支所であった。参加した宮城、福島両県の14人に、
同支所の佐藤正典次長は「仕事は介護業務が占める割合が増える」と告げた。あえて介護の話を持ち出したのは「理想と現実のギャップを今から埋めてもらうため」と担当者は説明する。
同支所の60歳以上の収容者は9月末現在で104人と、全体の29.7%を占める。2013年は26.9%(12月末現在)で増加傾向にあり、刑務官の業務にも影を落とす。
06年から勤務する女性刑務官(40)は作業場でミシンを使った縫製作業などを監督するが、目が悪かったり、手が動かないなどの理由で作業できない高齢収容者が増えているという。「作業成果は10年前の半分以下」と嘆く。
作業中に失禁する収容者もおり、刑務官が着替えを用意する。健康な若年収容者を高齢収容者の介助係として、連携してケアしているのが現状だ。
法務省が負担軽減を目的に14年に導入したモデル事業の一環で、同支所も介護福祉士や看護師など15人を雇う。ただ勤務は1日2~3時間と短く、夜間など不在時は刑務官が対応せざるを得ない。
こうした勤務の現実が離職の要因とも指摘される。同支所に13~17年度に採用された女性職員75人の約2割が1年以内に退職した。「仕事が合わない」「理想と違う」などの理由が多く、同支所は「介護業務の多さが一因だろう」と推し量る。
5月の衆院法務委員会でも、女性刑務官の高い離職率を指摘された法務省矯正局長が「高齢(収容)者の比率が男性と比べて高く、個別配慮が必要な高齢者も多い」と、介護負担の大きさを理由に挙げた。
勤務環境を改善しようと同支所は今年、「バースデー休暇」を新設した。誕生日月の前後1カ月を含む3カ月の間に、有給休暇の取得を推進する。
佐藤次長は「新休暇で休みやすい雰囲気は出てきた。介護負担をゼロにするのは難しいが、介護施設の見学や施設職員を招いた研修で刑務官の不安感を取り除くよう努める」と話す。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00000008-khks-soci
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