女性皇族が結婚後も皇室に残れるようにする「女性宮家」創設について、政府は具体的な検討の着手を来年5月1日の新天皇即位後に先送りし、結論を急がない方針を固めた。
複数の政府関係者が4日までに明らかにした。創設に反対する保守層への配慮が背景にあり、事実上たなざらしになる可能性がある。
安倍晋三首相は各党代表質問が行われた10月30日の衆院本会議で、野田佳彦前首相(無所属の会)が女性宮家の検討を急ぐよう求めたのに対し、
「さまざまな考え方があり、国民のコンセンサスを得るには十分な分析、検討と慎重な手続きが必要だ」と答弁。従来の安倍政権の立場を改めて示すにとどめた。
首相が慎重な姿勢を崩さないのは、自らを支持する保守派に「将来の女性・女系天皇への布石になりかねない」との警戒感が強いためだ。そもそも首相自身が過去、女性宮家に否定的な考えを周囲に漏らしている。
こうした状況に、政府内では「国民的な合意を形成するのは困難」との声が大勢だ。ある首相官邸関係者は取材に「事務的にはいろいろ検討しているが、結論は急がない」と明言。当面、代替わりに伴う式典準備に専念する方針も明かした。
ただ、女性宮家創設が議論されるきっかけとなった皇族の減少は対応が急務だ。皇室典範は「皇族女子は、天皇および皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」
と規定しており、10月29日に結婚した高円宮家の三女絢子さんは皇籍を離れた。今後も女性皇族の結婚が続けば、皇室の活動を縮小せざるを得なくなる。
昨年6月に成立した天皇陛下の退位特例法の付帯決議は、当時の民進党の主張を踏まえ、「皇位の安定継承」とともに「女性宮家の創設等」を退位後に速やかに検討し、
国会に報告するよう政府に求める一文を盛り込んだ。期限を区切っていないとはいえ、結論を急がないとする今回の方針に野党側から批判も出そうだ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181105-00000009-jij-pol
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