西日本豪雨の被害は広範囲に及び、危機管理に強いとされる安倍政権を翻弄(ほんろう)した。
災害には「先手先手」の対応を掲げる安倍晋三首相だが、平成に入って最悪の水害に発展するとは当初予想しなかったとみられ、野党は初動の遅れを批判する。被害の全容が把握できていない中、矢継ぎ早に対策を打ち出し、挽回に懸命だ。
首相は10日の非常災害対策本部で安否不明者の捜索に全力を挙げるよう指示し、「被災地のニーズを迅速にきめ細かく把握し、対応に万全を期してほしい」と求めた。9日は省庁横断の支援チーム結成を指示。10日には2018年度予算の予備費を拠出する方針を示した。
政府関係者は「安倍内閣の危機対応は過去のどの政権もかなわない」と強調する。ただ、河川の氾濫や土砂崩れは各地で同時に多発。道路の寸断などで救助隊の移動や物資輸送も難航し、被害状況の確認にも手間取った印象は否めない。
気象庁が大雨警戒を呼び掛けたのは5日。首相官邸が連絡室を設置したのは6日、関係閣僚会議開催は7日で、災害対策基本法に基づく対策本部設置はその後の8日だった。10日の参院内閣委員会で立憲民主党の杉尾秀哉氏は「本当に先手先手だったのか。後手後手ではないか」と指摘した。
5日夜に首相や閣僚、自民党幹部らが「赤坂自民亭」と称した飲み会に出席したことにも批判が出ている。西村康稔官房副長官は会合で首相らが談笑する写真をツイッターに投稿。立憲の蓮舫参院幹事長は「責任感があまりにも欠如している」と非難した。
赤坂自民亭に出席した閣僚からは10日、釈明が相次いだ。上川陽子法相は「大変な災害になっていることに思いを寄せることができなかった」と述べ、吉野正芳復興相は「いろいろな批判は受け入れていきたい」と語った。
政府は今回の豪雨災害を受け、被災自治体の対応が適切だったか検証する考えだが、政府自体も問われそうだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180711-00000022-jij-pol
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