甲子園球場で5日に開幕した第100回全国高校野球選手権大会で、北神奈川代表の慶応高校は初戦を劇的なサヨナラ勝利で飾った。スタンドでは、10年前の夏にエースとして同校をベスト8に導いた田村圭さん(28)=会社員=が胸を熱くしていた。
慶応高にとって46年ぶりだった10年前の夏の甲子園。味方の好プレーにとびきりの笑顔を見せたかと思えば、窮地を切り抜ければあらん限り吠(ほ)えた。マウンドで躍動したのが、「エース田村」だった。
「1試合勝つごとに満足感があった。それくらい目の前のことだけに全力でした」。3勝を挙げて、同校の夏としては戦後最高成績となる8強入りを果たした。
昭和の大スター、プロレスラーの力道山の孫としても注目され、メディアをにぎわせた。
「それがあるから取り上げられるって言う人もいれば、実力があるからだって言ってくれる人もいた。でも自分は、努めて自分を褒めるようにしていました」。慶応大に進み六大学野球リーグ時代まで続いた葛藤も、「今では何とも思っていないですよ」と笑う。
現在は会社員として多忙な日々。良い時もつらい時も、支えてくれたのは仲間だった。当時のキャプテン山崎錬選手は今、社会人野球の強豪チーム・JX-ENEOSの主将を務めている。
「山崎が頑張っているから、自分もと思える。今の選手も、そういうふうに思える仲間同士になってくれたらいいですね」
ことしのチームは、当時の自分たちとよく似ていると思う。春の甲子園初戦負けの悔しさを原動力としてはい上がり、同じ記念大会で東海大相模と桐光学園という強敵を下して優勝した。しかもエースの生井惇己投手は田村さんとよく似た、気迫で投げる左腕だ。
「なんかうれしいです。やっぱり重ねて見ちゃいますよね。自分だったらこう投げるな、とか」
母校はその生井投手が好投して、チーム一丸となってサヨナラ勝ち。田村さんは「僕らを超えてベスト4、そして優勝を目指してほしい」と後輩たちの熱闘をまぶしそうに見つめた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180806-00028341-kana-base
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