農業関係者の期待を背に“KANANO”が躍進──。第100回全国高校野球選手権大会に唯一の農業高校として出場した金足農業高校(秋田)は、強豪の鹿児島実業高校(鹿児島)と対戦。5―1で勝利し2回戦に進んだ。
夏の甲子園で同校の勝利は23年ぶり。球場の応援席には、同校の生徒や教員の他、農家や農業関係者が集結。地元の秋田でも、農業関係者らがテレビ観戦で金農ナインの“一投一打”に熱い視線を送った。(前田大介)
先発のマウンドに立ったのは大会注目の右腕、吉田輝星投手(3年)。1回表、走者を背負いながらも渾身の投球で無失点に抑えると、一塁側の応援席は地鳴りのような歓声に包まれた。その中で、懸命にメガホンをたたき声援を送ったのは秋田県潟上市の吉田理正さん(70)。
吉田投手の祖父だ。JA秋田みなみ(現JA秋田なまはげ)に36年間勤め、退職後に梨の農家として約50アールの農園で「幸水」「かほり」などを栽培する。孫が甲子園に立つ勇姿に目頭を熱くした。
思い出すのは、甲子園を目指す孫の鍛錬の日々。幼少期から練習熱心で「『キャッチボールをしよう』とよくせがまれた」。中学生になると、帰宅後に4キロのランニングを欠かさなかった。夜道を怖がる孫のため、理正さんは自転車で追い掛け見守り続けた。最速150キロを計測するプロ注目の右腕に成長した今や「怖くてキャッチボールの相手はできない」と、成長に目を細める。
勝利に沸いた試合後、理正さんは「甲子園に出場する自体信じられないこと。よくやった」と拍手の手を止めなかった。
同校の渡辺勉校長は「今回の甲子園に出場する農業高校は金農だけ。一戦でも多く勝利し、他の農業高校の励みにしたい」と力を込めた。
全力で戦う姿見せる
吉田投手は試合前、「梨をもらったり練習を手伝ってもらったりしたじいさんを甲子園に連れて行きたいと思っていた。全力で戦う姿を見せたい」と話し、大一番に挑んだ。
この日の最速は148キロを計測。157球を投げ、1失点14奪三振でチームに23年ぶりの勝利をもたらした。それでも「きょうの投球は30点。次は隙を見せないで、自分が投げられるボールを全力で投げたい」と気を引き締めた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180810-00010003-agrinews-soci
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