故スティーブ・ジョブズの娘、リサ・ブレナン・ジョブズ(Lisa Brennan-Jobs)は、新刊の回想録『Small Fry』の一部を公開した。抜粋された部分には、複雑な父娘関係における悲しいエピソードも含まれている。
ブレナン・ジョブズが父親について詳しく記したのは今回が初めて。ジョブズは当初、リサの母親クリスアン・ブレナン(Chrisann Brennan)に対して、子どもの認知を拒否し、養育費を支払わなかった。
「バニティ・フェア」9月号に掲載された抜粋は、ジョブズの最期の日々の描写から始まる。見舞いに来ていたリサに、その場にいた僧侶は「ジョブズの足を触る」ように言った。ジョブズは若い頃、仏教徒に改宗していた。
彼女は毎週末、病床の父親を見舞い、継母のローレン・パウエル(Laurene Powell)、そして3人の異母兄弟と馴染もうと努めたことを記している。
「映画みたいな感動的な和解は、とっくに諦めていた。それでも見舞いに行き続けた」
またジョブズが1978年にリサの誕生を見に行ったこと、だが、サン・マテオ郡の地方検事から鑑定を受け、そして養育をサポートするよう命じられるまで認知を拒否し続けたことも描かれている。
あるエピソードでは、1980年12月8日、ジョブスの弁護士たちが養育費などの支払いが確定したと知らせてきた時の様子が描かれている。その4日後、アップルは株式公開し、ジョブズは莫大な資産を手にした。
彼女は、父親は傷がつく度にポルシェを新しいものに取り替えていると信じていたこと、要らなくなったら1台もらえないかと聞いたことも振り返っている。
「お前には何もやらない」それがジョブズの答だったとブレナン・ジョブズは記した。
「分かるか? 何もだ。お前には何もやらない」
彼女は、ジョブズは「お金も、食べ物も、言葉も」与えてくれなかったと付け加えた。
文章は、子どもの頃のリサの、普通の父娘関係ではないという思い、そして、もっと父親のそばにいたいという素直な思いに溢れている。
「彼にとって、私の存在は華々しいサクセスストーリーの汚点だった。私たちのストーリーは、彼が望んだ偉大さと美徳のストーリーにそぐわなかった」
「私の存在は、彼のストーリーを台無しにした。だが私にとっては逆だった。彼に近づけば近づくほど、肩身の狭い思いは薄れていく感じがした。彼は世界そのもので、私を明るい方へと導いてくれた」
ブレナンは、アップルのリサ(Lisa)を持っている。父親とつながっていたいという思いからだ。リサはマッキントッシュの前のモデルでビジネスとしては失敗に終わっている。
「私の名前をつけたの?」彼女はある時、父親に聞いた。
「いや、違う。ごめんね」とジョブズは答えた。
だが、父娘関係の変化の兆しを彼女はその後のエピソードに記した。ある休日、ジョブズは彼女とその家族を招いた。そして、友人であるU2のリーダー、ボノと会わせた。
その時、ボノはジョブズにリサについて同じ質問をした。娘の名前をつけたのかと。
ジョブズは「そうだ」と答えた。
※敬称略
[原文:’You’re getting nothing’: Steve Jobs’ daughter wrote a heartbreaking memoir about their often brutal relationship]
(翻訳:Ito Yasuko/編集:増田隆幸)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180819-00010003-binsider-peo
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