第100回全国高校野球選手権の第8日2回戦4試合が12日、甲子園球場で行われ、星稜対済美は、延長にもつれこむ大接戦となり、今大会2試合目となるタイブレークへ突入。延長13回に済美の矢野功一郎が史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を放ち大逆転勝利した。選手の健康管理を理由に賛否がある中、今春のセンバツ大会から延長13回以降、無死一、二塁から始めるタイブレークが導入され、今大会で初めて適用ケースが出たが、
2試合共に白熱の試合となり、しかも、記録的な酷暑の中、選手の肉体的負担を軽減する意味でもタイムリーな導入となった。だが、その一方で、無理やり決着をつける方式や、伝統、記録の扱いに対する根強い反対意見もある。甲子園タイブレーク導入は成功だったのか。
それは劇的なフィナーレだった。
6点を追う済美は8回に打者一巡の猛攻撃で8点を奪い一気に逆転。だが、星稜も9回に3連打を含む4安打で2点を奪って追いつきゲームは延長戦へ。12回で決着がつかず今大会2試目のタイブレークに突入した。
タイブレークとは今春のセンバツ大会から導入された新ルールで延長13回から無死一、二塁で前の回からの継続打順でスタート、決着がつくまで行う。決勝戦だけは採用せず延長15回まで行い、同点の場合は引き分け再試合。その再試合ではタイブレークを適用する。
無死一、二塁から始まる高校野球版のタイブレークは、送りバントが必須作戦となっているが、先攻の星稜は強攻策を選択して走者を進め、河井陽紀の一打は大きなバウンドの三塁ゴロ。三塁手はバックホームしたが、間一髪セーフ。
さらに一死一、三塁から、ベンチは佐々井光希へスクイズのサイン。変化球が低目のボールゾーンに落ちる難しいボールを執念でバットに当てて2点目を刻んだ。
2点を追う済美は、単純な送りバントではなく自らも生きるセーフティバントのサインを送った。
政吉完哉が三塁へ意表をつくセーフティを成功させて、お膳立て。1番打者の矢野功一郎は、左打席に入りカウント1-2から112キロのスライダーをうまくすくった。高く舞った打球は風に乗ってライトポールを直撃した。「感触もなかったので入るとは思っていなかった」という矢野は一塁を回るところまで全力疾走していた。「頭が真っ白。最高の一日です」。史上初の逆転サヨナラ満塁弾はタイブレークの舞台で生まれた。甲子園は、熱狂の坩堝と化し、ネット上でも大きな話題となった。
「まるで漫画みたい」「感動した」と、賞賛するものがほとんどだったが、一方でタイブレーク導入の是非を問う声もあった。「こんなルールでは星稜がかわいそう」「タイブレークがなければ結果は違う」「高校野球ではタイブレークはいらない」という感情論から、中には、「これが本当の選手ファーストだろうか。無理やり決着させての感動の押し売りではないか」という辛らつな意見もあった。
初導入となったセンバツ大会では適用ケースがなく、6日の1回戦の旭川大対作久長聖が初のタイブレーク適用試合となった。この試合は4-4のまま延長13回へ。
先攻の佐久長聖旭はバントを失敗して得点できず、その裏、旭川大はバントを成功させ一死二、三塁にしたが、得点につなげることができない、14回も佐久長聖はバント作戦。真鍋龍平の三塁側へのバントが絶妙で、三塁手が処理を見送ったが、
ほぼライン上でストップした。満塁となり上田勇斗のセカンドゴロの間に勝ち越した。その裏、旭川大は、送りバントを使わず強攻策に出たが、それが裏目となり、無得点に終わりゲームセット。タイブレークは、予想通りのほぼバントの攻防になり、
2試合ともにバントの成否が勝敗を分けることになったが「緊張した」「楽しかった」と選手が感想を口にしたように試合に緊張感とスリルはあった。「面白い」というファンの感想もネット上では目立った。
昨春のセンバツでは、春夏通じて初めて1大会で2試合が延長15回引き分け再試合。2013年のセンバツ大会では、愛媛・済美高の2年生投手、安楽(現楽天)が、3日連投を含む5試合に登板して772球を投げたことが、米メディアを巻き込む議論を呼んだ。
主に、この投手の球数問題が、選手の健康管理という大儀のもと、タイブレーク導入のきっかけとされた。この日、済美のエース、山口直哉も13回を投げきり184球を投げていた。もしタイブレークがなければ、さらに球数は増えていただろう。
だが、一方の星稜は6人の継投策。球数の負担は関係なかった。ただ記録的な猛暑による健康不安を避けるという意味では効果はあった。選手の健康管理という理由でのタイブレーク導入の効用はあながちなかったわけではない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180813-00000001-wordleafs-base
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