故障による離脱を経て、まずは打者として復帰を果たした米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平。メジャーへの移籍が決まる前から、投手としてはエース級との高い評価を受ける一方、打者として大リーグで通じるかどうかは、アメリカの野球関係者の間で疑問視されていた。シーズンも終盤に入った今、果たして打者大谷翔平はアメリカでどのように評価されているのか。ファンや専門家、そして最も近くで大谷のバッティングを見ている人物に話を聞いてみた。
ケガによる1カ月近い離脱に加えて、エンゼルスのプレーオフ進出が難しくなったため、米野球界の大谷への注目度は落ち着いてきた。
それでも8月28日終了時点で、131試合中78試合に打者として出場し、打率.275、出塁率.352、本塁打15という成績を残している。
選手が攻撃面でどれだけ貢献しているかを測るwRC+という指標を見ると、大谷は145を記録している。この数字はリーグや球場の違いも考慮に入れた上で、大谷が同じだけ打席に立ったメジャーリーグの平均打者より45%多くの得点を生み出していることを示す。
大谷の場合、出場試合数、特に苦手な左投手との対戦が少ないので単純比較はできないが、250打席以上という条件で絞るとメジャーで13位の成績だ。イチローと松井秀喜のメジャー1年目のwRC+が、それぞれ124と109だったことと比べても、「打者大谷」は際立つ。
「大谷は期待を大きく上回る選手です。彼がベーブ・ルースと比較するに値する選手なのか疑問の声もありましたが、われわれの想像を超える素晴らしさです」と話すのはMLB公式サイトのデービッド・アドラー記者だ。
メジャーでもトップクラスの打球、走塁スピード
アドラー氏は、カメラやレーダーを使って選手やボールの動きを解析できるスタットキャストのデータ調査を担当している。ボールの回転数や野手が打球を追いかけた距離などが表示されるのを大リーグ中継で見たことがある人も多いだろう。
サンプル数の多寡や運に左右されやすい打率や打点などの数値に比べて、スタットキャストのデータは選手の能力を如実に反映する。そこでも大谷はあらゆる面で秀でていると同氏は言う。
強打者ぞろいのアメリカで、平均打球速度は149キロで、150以上の打球を記録した295選手中15位。ホームランの平均飛距離は127メートルで、2桁以上打っている182選手の中で3位の数値である。
それに加えて、走塁スピードがメジャーのトップクラスに近いというのだから恐ろしい身体能力だ。メジャーでもトップクラスしか出せないという秒速30フィートを2度記録している。
アドラー氏が注目しているのが、大谷のセンター返しの能力。センター方向への打球の打率(5割2分3厘)と長打率(1.092)はともにメジャーで堂々の1位である。
「彼は投手としていいバッターなのではなく、打者としてだけ見ても優れています。よく大谷が投手と打者の両方をやるべきかと人に聞かれるのですが、もちろんだと答えます。それは数字が示しています」とアドラー氏は話す。
大谷のエンゼルス移籍が決まった直後に、日本ハムの栗山英樹監督と大渕隆スカウト部長にインタビューした際、2人とも打者としての方が完成形に近く、メジャーに早く適応できるのではないかと話していた。
一方、これまでの日本人野手への評価が低いこともあり、アメリカでは打者大谷に対して懐疑的な声が多かった。
大谷は24歳にして、日本人野手に対する「常識」を破りつつある。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180830-00010001-jij-spo
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