〇金足農(秋田)3-2近江(滋賀)●(18日・阪神甲子園球場、準々決勝)
頭上で「セーフ」という声が聞こえて顔を上げると、球審が両手を広げていた。金足農の二塁走者・菊地彪が好判断で本塁に突入し、逆転サヨナラ2ランスクイズを生んだ。
1点を追う九回無死満塁、9番・斎藤の3球目に出たサインは2ランスクイズではなく、スクイズ。近江内野陣の前進守備を見てリードを大きく取った菊地彪は、
三塁前に打球の転がった時点で三遊間の中間まで到達し、三塁手の一塁送球の瞬間には球の行方を追わずに本塁へ。近江の捕手のタッチをかわすように滑り込み、左手で本塁を触れた。
50メートル6秒0の俊足だけに「絶対に決められる」と自信があった。根拠の一つは打者が斎藤だったこと。チーム屈指のバントの名手だったことで、思い切ってスタートが切れた。もう一つは経験則。「練習試合で3回決めたことがある」といい、
日々のシート打撃でもバントで二塁から還ることを繰り返し練習してきた。その結果、「三塁手が捕った時点で三塁コーチスボックス近くまで来ていれば、間に合う」という判断基準を持っていた。
金足農は8強入りした第77回大会(1995年)1回戦の倉吉東(鳥取)戦でも九回に2ランスクイズを決めている。菊地彪も、中泉監督もその事実を知らないが、伝統の奇策は脈々と受け継がれてきた。金足農の遺伝子ともいえる2ランスクイズで、平成で初めての4強への扉をこじ開けた。【安田光高】
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180818-00000088-mai-base
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