米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票条例案が26日に県議会で可決されたことで、辺野古移設に反対する玉城デニー知事は県民投票を求心力を高めることに生かしたい考えだ。
だが、投票結果に法的拘束力はなく、県内の一部自治体では投票実施が危ぶまれている。結果次第では辺野古移設に反対する立場に不利な状況も生まれかねない。
県民投票は今年度内に行われる見通しで、その後の来年4月以降は自身の知事転出に伴う衆院沖縄3区補選、参院選が予定されている。玉城氏とすれば、県民投票で反基地感情を盛り上げ、連勝を図りたいところだ。
野党も9月の知事選で成果を出した野党共闘を全国に広げ、政権交代につなげたい考えだ。立憲民主党の辻元清美国対委員長は
「安倍晋三首相が沖縄県民の民意をどう受け止めているのか国会審議を通じてただしたい」と述べ、県民投票を通じ国政レベルでの政権批判につなげる姿勢を示した。
しかし、県民投票には反発も根強い。県議会の審議では、「賛成」か「反対」の二者択一を迫ることに批判が集まった。
公明党の金城勉県議は「普天間移設には多様な意見がある。賛成か反対で切り分けるのはあまりにも乱暴だ」と疑問を呈した。
辺野古移設は普天間飛行場の危険性を除去するための計画だが、条例は危険性について明記していない。宜野湾市の松川正則市長は26日の玉城氏との会談で
「原点の普天間飛行場の危険性が条例に見えない。いかがかなあという疑問を感じている」と伝えた。記者団には投開票事務への協力について「躊躇(ちゅうちょ)する部分を持っている」と述べた。
投開票には、各市町村議会で関連経費を盛り込んだ補正予算案の可決が必要だが、石垣市議会は17日、県民投票に反対する意見書を採択した。
関係者によると、他市町村でも同様の動きがあり、「虫食い県民投票」(自民党県議)となる可能性もある。県は「一部の市町村で実施されないとしても意義がある」との立場だが、投票の意義は揺らぐことになる。
玉城氏は知事選で過去最多の約39万票を獲得し、「反辺野古の民意」と強調している。県民投票での反対票は対立候補の約31万票を下回る可能性も否定できず、
県選出国会議員は「そうなれば、玉城氏は反辺野古で選ばれたことにはならなくなる。後で後悔することになるだろう」と語った。(杉本康士、千田恒弥)
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181026-00000644-san-pol
ネットの反応