【アーカイブ:内容は2018年3月2日の初出時点のものです】苦難の道のりだった「保活」を経て、ようやく確保した認可保育園の席。しかし、そこは安住の地ではありません。親たちは自宅から遠い園の送迎でくたくたになり、
弟や妹が生まれれば退園を迫られることもあります。待機児童がひしめく平成時代の家族には、「保活後」も厳しい現実が待ち受けています。(朝日新聞文化くらし報道部記者・中井なつみ、足立朋子、田渕紫織)
自宅から1時間の「第7志望」に当選
認可保育園の選考には当選した。だけど、こんな結果になるなんて――。東京都北区の女性(36)は2年前、認可保育園へ申し込もうと、区役所の窓口を訪れた。長男を出産したのは2016年1月。1年間の育児休業を取ってから復職したかったが、1歳になってからでは入園の競争率が高くなる。
希望したのは、見学していた3園。ところが、職員から「本当に入りたいなら、もっと希望園を書いてくださいね」と促された。
職員は区内の地図を広げ、自宅から一定の距離にある園を示しながら「このあたりなら、みなさんも通われています」と助言してくる。自宅から近い順に四つの園を申請用紙に書き加えた。
後日、第7志望に内定したとの通知が届いた。自宅から約1時間かかる遠方の園だ。喜びの半面、「本当に通えるのかな」という不安が頭をもたげた。ここに決まるとは、思ってもいなかった。
体力的にも精神的にも疲労
毎日の登園は、自宅から大人の足で徒歩5分の停留所からバスに20分揺られ、さらにそこから徒歩で20分。通勤時間は30分ほどだが、自宅と保育園と職場はほぼ三角形の位置関係にあるため、保育園へ預けて職場に行くと、家を出てから1時間半以上かかる。
長男が熱を出して保育園から呼び出されたとき、急いで職場を出ても、自宅近くのかかりつけ医の受付時間に間に合わなかった。
「保育園が遠いと、仕事も生活もかなり無理をしなければいけない」。復帰して間もないころ、体力的にも精神的にも疲労が重なり、急に涙がこぼれることもあった。2歳になった長男は動き回るようになり、毎日のバス通園で危険を感じることも少なくない。
自宅近くの認可保育園への転園希望を出し、認可外保育園も視野に入れて保活を続ける。「入れただけでもありがたいと思っていたけど、その現実が本当につらいこともある。あらゆる手段を取っているけど、『保育園に1度入れた』我が家には厳しい状況です」
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180813-00010001-asahit-soci
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