25日夜、3年、4か月ぶりに解放されたフリージャーナリストの安田純平さんが帰国した。機内では「24時間身動きがとれない恐怖があった」と拘束生活を振り返り、機内での食事は肉料理を選び、ビデオを見るなど落ち着いた様子だったというが、体調を考慮し、この日は出迎えた家族とともに早々に空港を後にした。
そして空港では安田さんに代わり妻の深結さんが『大変なお騒がせとご心配をおかけしました。おかげさまで無事帰国することができました。
ありがとうございます。可能な限り説明をする責任があると思っています。折を見て対応させていただきますので、今日のところはご理解ください』とのメッセージを読み上げた。
ネット上では安堵の声があがる一方で、
「退避勧告が出ている所へ行って拉致されたのだから自己責任だ」
「解放されたのは良かったけど、無謀にも危険地域へ渡航して、武装勢力に捕まったら命乞いをし、支払われた身代金がまたテロ資金となる」
「彼が捕まったのは今回が初めてではなく捕虜常習者。また行ったら助けるの?」と、厳しい批判の声もくすぶっている。安田さんの解放にあたって、カタール政府が日本によるODAの一部を武装勢力に支払ったという一部報道もあるからだ。
25日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した漫画家の江川達也氏も「“自己責任“とまでは言わないが、なぜ行っちゃいけないと場所に行かないでいられないのかなと思う。支払いがあったとすれば組織の資金源にもなってしまう。
すごい情報が取れればいいが、拘束中の状況について以外、あまり無いのではないか。軍隊がしっかりしている国ではジャーナリストではなくスパイなどが潜入する。戦前の日本もそうだった」と批判的な姿勢を示す。
これに対し、東京工業大学教授の柳瀬博一氏は「こういう問題では必ず自己責任論が出てくるが、安田さんの是非を問うのはさておいて、リスクをとって取材に行く価値というのは非常に高まっている」と話す。
「色んな制約があって詳しい場所は言えないが、実は僕も危険地帯に取材しに行ったことがあり、その国の腕章をしていたにも関わらず警察官に6、7時間くらい拘束されたことがある。向こうの国のスタッフの横にいたのに、
“この国から絶対に出さない“とまで言われた。あるいは取材中に目の前に火炎瓶が投げられて爆発したこともある。そもそも政情不安の国で“絶対“はありえないし、
我々が暮らしているところとは根本的に違う。そんな場所にリスクを取って取材しに行ってくれる人がいないと、真実は伝えられない。今はスマートフォンを使って誰でも情報発信ができるが、それは簡単に情報操作もできてしまうということ。
だからこそ、現地にジャーナリストが行って検証するのが非常に重要だと思う。一般の方は知らないと思うが、かつてに比べ、日本の大手メディアが危険地帯に記者を行かせなくなったので、
もはや現地に行ってもそういう人たちに会うことはほとんどない。そうすると、安田さんのように危険を冒して取材してくれる人が重要になってくる」。
その上で、「日本人はこういうことが起きないと関心を持たない。今後は、安田さんからどれだけ情報を得られるかというのが国際政治で非常に重要になってくる。
外務省もメディアが安田さんの経験から学べるよう、自身も情報を発信してもらうことが重要だと思う」と述べた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00010000-abema-soci
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