衆院で29日に始まった論戦で、主要野党の憲法改正論議に対する姿勢の違いが明確になった。国民民主党の玉木雄一郎代表が「平和的改憲」を提案し、「本質的な議論」に意欲を示した一方、立憲民主党の枝野幸男代表は改憲の議論に応じない姿勢を崩さなかった。
玉木氏は代表質問で「自民党案では『必要最小限度』との制約がなくなり、何の限定もない集団的自衛権の行使さえできる可能性がある」と自民党の改憲案を批判し、こう続けた。
「自衛権の範囲を憲法上明確にし、平和主義の定義を国民自身で行う平和的改憲の議論を行うべきだ」
玉木氏は先の大戦の教訓と憲法の平和主義を踏まえ「海外派兵や他国の戦争に参画しないことを条文上明らかにする」と説明した。
これに対し、枝野氏は「憲法の本質は国民の生活を守るために国家権力を縛ることにある」と主張。壇上から「憲法とは何か、一から学び直してください」と首相を挑発し、「首相が先頭に立って旗を振るのは論外だ」と断じた。
改憲に向けた議論さえ進展しない国会に対し、世論は冷めた目で見ている。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が今月実施した合同世論調査で、「現行の憲法は時代に合っていると思うか」との質問に対し、「思わない」は55.3%で、「思う」の32.8%を大きく上回った。
憲法改正への賛成は52.3%に上った。何かと理由をつけて議論さえ拒む枝野氏の姿勢は、こうした声に目を背け続けているように映る。
玉木氏が新たな提案をしたことで改憲の動きが進む可能性もある。ただ、玉木氏は質問終了後、記者団に「権力に対して謙虚に向き合う者しか憲法改正に手をつけてはならない。首相は全くそれがない」と述べ、首相を激しく批判した。
首相が29日の答弁で「幅広い合意」を求めたように、最終的に国民投票で決まる憲法改正は野党も含めた理解が欠かせないが、道のりはまだ遠いようだ。(大島悠亮)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00000623-san-pol
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