教員の時間外労働に残業代が支払われていないのは違法だとして、埼玉県内の市立小学校の男性教員(59)が9月25日、約242万円の未払い賃金の支払いを求めて、さいたま地裁に提訴した。平日の仕事終わり、中高生でにぎわう埼玉県内のファミレスで原告の田中さん(仮名)に話を聞いた。「ここにも教え子たちがいるかもしれませんね。
皆成長していて、声をかけられて気づくことも多いんですけどね」。教員歴約38年という田中さんは、今年度で定年退職を迎える。
これまでも教員の時間外労働への残業代を求めた裁判があり、教員側が敗訴してきたことは知っている。今回の提訴にあたっても、
複数の弁護士に「勝てないだろう」と言われた。それでも「次の世代に無賃残業を引き継いではいけない」との思いから、現役教員最後の年に訴訟を起こすことを決めた。
「教員は残業が無賃なんです。公務員の中でも、なぜ教師だけ仲間はずれなのでしょうか。この現状を、少しでも世の中の人に知ってもらいたい」(編集部・出口絢)
●定時に帰ることはほとんどない
田中さんが働く小学校には、教員の長時間労働の一因とされている部活動やクラブ活動はない。しかし、全ての科目を担任が受け持つ「学級担任制」ならではの忙しさがある。
田中さんの学校では、出勤が8時半で退勤が17時。休憩時間は計45分で、1日7時間45分勤務とされている。
しかし、田中さんは定時の出勤時間より1時間早い毎日7時半前後には出勤している。どの教員もその時間にはきているからだ。加えて新任教員は、7時前に来て学校周りの掃除を行うことになっている。
田中さんも7時50分には教室に移動して登校する子どもたちを迎え、8時過ぎからは子どもたちと毎朝校庭でミニマラソンを行う。
授業は8時50分ごろに始まる。授業の合間の10分~20分休みには、その日のうちに返さなければならない40人分の漢字ドリルや計算ドリル、連絡帳などのチェックに追われる。
次の授業で実験がある時には、その準備のためにドリルを見る暇もない。そんな時は、子どもたちの昼休みや給食時間にチェックを進める。
子どもたちが16時までに下校するのを見送ってから、ようやく事務作業を始められる。16時15分~45分は教員の休憩時間だが、職員室で休憩を取っている教員は誰もいない。
もちろん田中さんも、次の日の授業準備やテストの採点が残っている。9月は遠足のしおり作りや運動会の徒競走名簿作り、夏休みの宿題として提出された作品の整理、教員向けの授業研究会の準備などに追われた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181028-00008744-bengocom-soci
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