「オーナーが徒弟制度に重きを置き、労働環境が劣悪です」。福岡市の有名洋菓子店の関係者から、特命取材班にSOSが寄せられた。仕込み作業や菓子作りの練習で長時間拘束が常態化し、労働基準監督署の立ち入り調査に備えた口裏合わせまで指示されるという。事実なら「ブラック企業」と批判されかねない。職人の働き方改革はどうなっているのか。
複数の関係者によると、この店では男性パティシエは入社後に寮に入り、女性パティシエも徒歩10分圏内に住む決まり。食事も店で3食を取り、朝食は前日に売れ残ったケーキを食べることが求められている。
開店は午前9時。パティシエはその3時間前には出勤し、閉店後も翌日の仕込みに着手。帰宅は午後9~10時ごろになる。この間、休憩は3回30~40分ずつで、遅刻や仕事のミスがあれば5分ほどに短縮される。若手の休日は週1日だ。
クリスマスやバレンタインの前には店に寝泊まりし、睡眠2~3時間という日も。「残業は毎月130時間以上。残業代もきちんと支払われていません」。パティシエの一人は訴える。
7月中旬、関係者の告発を受けたとみられる労働基準監督署が、店に立ち入り調査に入った。特命取材班は、調査日の店の朝礼を記録したという音源を入手。オーナーがパティシエに口裏合わせのような指示をする様子が録音されていた。
「休みが取れないのは問題といえば問題だけど、うまくごまかすように」
「(1日)8時間、週休2日なら会社は立ちゆかん。仕事を早く覚えたいからやっていると説明するから、そのつもりにしといて」
店のオーナー「職人を育てるためです」
店では近年、パティシエが勤務中に顔をやけどする事故も発生。オーナーは自宅でやけどしたように装うことを指示し、労災事故を隠そうとしたという。厚生労働省が定める時間外労働の「過労死ライン」は、月80時間以上。長時間拘束や指示は本当なのか。
店のオーナーの男性に直撃すると、おおむね事実だと認めた。その上で、こう話した。「職人を育てるためです」「職人の仕事は、労働時間をきっちり管理するのが難しいんです」-。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180828-00010000-nishinp-soci
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