中学校の部活動における自転車利用を巡り、神奈川県茅ケ崎市で議論が起きている。これまで市教育委員会は休日に校外で活動する際の生徒の自転車移動を認めてきたが、2018年度から事故防止のため自粛するよう方針を転換した。
一方、市は「自転車のまち」を旗印に利用を促してきた経緯があり、保護者らから「実情を考慮して別の対策を取るべき」といった声が上がっている。
市教委などによると、市立中学校13校では17年度まで、休日に大会や練習試合などがあり、校外で活動する場合、顧問が引率することを条件に会場までの自転車移動を認めていた。
しかし、昨年12月の休日に部活動の遠征のため、自転車で移動中だった男子生徒が乗用車に衝突され、大けがを負う事故が発生。中学校長会と市教委は「これまでも生徒が被害に遭う事故が起き、自転車による重大事故も社会問題化している」として、18年度の1年間は試行的に利用を原則自粛するよう各校に要請した。
市教委によると、部活動の校外活動における生徒の自転車利用を禁止している自治体は、県内33市町村の半数以上に上る23自治体。そのうちの一つ、寒川町は18年度から「安全確保」を理由に禁止に転じた。
茅ケ崎市以外の残る9自治体は、条件付きを含めて利用を認めている。湘南地域のある自治体担当者は「バスの便が少ないなど交通事情を考えると、なかなか禁止にはできない」と話す。生徒には日頃から安全指導をしたり、ヘルメット着用を呼び掛けたりするなどの対策を講じているという。
一方、茅ケ崎市は市内に自転車ユーザーが多いことから、「人と環境にやさしい自転車のまち」を将来都市像に掲げ、14年に「第2次ちがさき自転車プラン」を策定。「自転車は生活の中で欠かせない存在」と位置付け、利用を促す施策や環境整備を進めてきた。
こうしたことから、地域住民や保護者には疑問の声が根強い。
市内各地区の自治会代表者らでつくる「市まちぢから協議会連絡会」の後藤金蔵会長も、その一人だ。「自転車は中学生にとっても欠かせない交通手段。急に利用を停止するのではなく、ヘルメットの着用や自転車事故に備えた保険の加入を義務付けるなど、段階的な対策を検討すべき」と指摘する。
中学校の野球部に所属する息子がいる女性は「住んでいる場所によってはバスの本数が少なく、早朝集合に間に合わないという生徒もいる。利用を禁止するのであれば、コミュニティーバスの本数を増やすなど対策を考えてもらいたい」と憤りを隠さない。
ソフトボール部の娘を持つ女性は子どもの体調面を心配する。「近隣の中学校まで自転車で20分ほどだったが、徒歩だと1時間近くかかる。夏場は用具に加えて2リットルの水筒やお弁当を持ち歩くので、熱中症にかかる危険性もある」と話す。
今月初旬には保護者が一時的に自転車利用を求める要望書を学校に提出。ただ学校からは「生徒の安全確保が最優先」として許可されなかった。
市教委は「いろいろな声が上がっていることは認識している」とした上で、「1年間の試行期間中に挙がった課題を検討し、今後の対応を決めたい」としている。なお登下校の自転車利用は認めていない。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180723-00027895-kana-l14
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