年功序列で仲良く昇給する時代は、過去のものになりつつある。バブル崩壊後の低成長時代に選択と集中が進み、完全実力主義で報酬が決まる組織は増えた。
年次を問わずに実力が評価されれば、モチベーションの上がる人もいる一方、格差が明らかになると、不満は噴出しないのか。そしてその「格差」の理由とは。
「なぜあの人が高い?」
「自分は成果を出しているのに、どうしてあの人の方が給与が高いんですか」独自サービスで勢いに乗り、資金調達を続けるなど成長中の、都内のとあるIT企業。入社から数年した社員から、人事部にこうした訴えが来ることは珍しくない。
社内の評価制度には10段階程度のグレードがあり、年2回の評価で昇格が判断される。
「基本的に、社員間の評価や報酬は非開示」(同社の人事部長)
だが、同期入社同士での飲み会やSNSの情報交換で、互いの報酬はおおよそ知れてしまう。
その結果、「自分も成果を出しているのにどうして……」という不満を社員が持つことは、ままある。理由は明確だ。
「社内格差は、はっきり言ってありますね」
人事部長は、そう明かす。
同社では年次に応じた一律給与ではなく、「市場価値の高い社員には対価を支払いたいので、能力給に切り替えました」。その結果、新卒2年目の同期でも人によっては、
年収100万円くらいの差が生じている。終身雇用、年功序列を掲げてきた従来の日本企業では、考えにくい程の格差だが、この人事部長の見方は驚くほどシビアだ。
「見込みがない」というメッセージ
「能力が高い人は評価されると認識してもらいたい。それが全体の底上げにつながり、社員の、ひいては事業の成長につながる」一方で、全く昇給していない人についてはこうだ。
「見込みがないという会社からのメッセージ。そういう層が仮にドロップアウトしても仕方ない、とも考えています」
さらに同社は、エンジニアやデータサイエンティストなどIT人材を中心に中途採用も拡大中。こちらの格差はさらに明白だ。
「事業インパクトの大きさで判断し、技術力プラスリーダーシップがあれば1000万~1500万円ですが、単純なソフトウエア開発であれば500万~800万円といったところでしょうか」
フリマアプリで急成長する、メルカリの入社後の給与も「無制限昇給」。こちらも、明確な個人差を厭わない。
同社のPeople&Culture部門担当の執行役員、唐澤俊輔さんは言う。
「年平均、何パーセント昇給のような基準はないです。本人の成果と会社の価値観に合った行動を総合評価して決める。この方がフェアです」
能力や成果が違うのに報酬に差のない方がむしろ「不公平」という思考に基づいているのだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00010000-binsider-bus_all
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