中途失明の原因の1位である緑内障の患者数は40歳以上で20人に1人とされているが、自覚症状がなく、病気の進行に気が付くことができないため、分かった時は失明寸前というケースもある。春先に健康診断を実施する企業も多いが、そこで行われる視力検査だけでは発見しにくく、眼底検査などを受ける必要がある。症状や治療法、早期発見のポイントについて眼科医の平松類さんに解説してもらった。
目次
■緑内障…40歳以上の20人に1人
緑内障は視野が徐々に欠けていく病気で、進行し続ければいずれ失明します。自覚症状がほとんどなく、労働安全衛生法に定められた、企業の定期健康診断の項目にある視力検査だけでは発見が難しいとされています。日本緑内障学会などが岐阜県多治見市で実施した疫学調査「多治見スタディ」では、40歳以上の20人に1人が緑内障というデータが得られました。
緑内障で失った視界を取り戻すことは現在の医療ではできません。進行を食い止めたり、遅らせたりするという治療しかないのです。そのために、早期に発見することが重要な病気であるといえます。
■“見えないこと”が見えない
「多治見スタディ」で緑内障とわかった患者のうち89.5%が、自分では気付いていませんでした。
これには目の仕組みが関係しています。人は例えば右目の視野が欠け始めても、左目でも物を見ているので、片方の視野が欠けた分を脳が補ってしまいます。ですから、緑内障が末期になるまで視力は保たれています。“見えないことが見えない”ことがこの病気の恐ろしさです。
徐々に病気が進行しているとき、「視力は良いのに何だか見えにくい」ということがあっても、老眼や目のかすみと思ってしまうことが多いのです。そのほか「虹が見えるように感じる」「夜になると少し頭が痛い」などといった自覚症状が出る人もいますが、はっきりと目の病気であるという疑いがもてるような症状はわずかです。
ですから、早期に発見しないと、気がついたらすでに残された視野がわずかな末期の状態で、そこから治療を進めても失明が回避できないということもあります。すでに片目の視野を失っているのに、もう片方で補っているので気づかないという人さえいます。
視力が良い間に病気が進んでしまうこともあり、厚生労働省の研究班の調査でも緑内障は中途失明原因の第1位となっています。
■緑内障の原因は不明
緑内障の原因はまだ、はっきりしたことはわかっていません。しかし、眼球の内圧である眼圧を下げると、緑内障の進行を抑制できることから、眼圧に原因の一つがあるのだろうと考えられています。
緑内障になりやすいリスクとしては「近視」や「遺伝的要因」が大きなものと考えられています。ですから、家族に緑内障の方がいる場合は特に注意が必要ですし、近視の人も注意が必要です。それ以外には「たばこ」「ストレス」もリスク因子として考えられています。
■健康診断でも見つけにくい
緑内障かどうかは視力を測ってもわかりません。原因の一つと考えられる眼圧を調べれば緑内障が発見できるかというと、それだけでも不十分です。
日本人の緑内障患者の多くは「正常眼圧緑内障」といって、眼圧が正常にもかかわらず、目の視神経が何らかの理由でダメージを受けて視野が失われているのです。はっきりとはわかっていませんが、血流の悪化などで発症するのではと考えられています。
■まずは眼底検査から
緑内障の発見には、まず眼底検査を受けることをおすすめします。眼底とは眼球の奥にある網膜のことで、瞳孔(眼の黒っぽい部分)を通して観察し、写真撮影することができます。
眼底検査で目の奥の視神経がダメージを受けているという所見が出れば、緑内障になりやすいと考えられ、さらに視野に関わる詳しい検査も行います。視野の4分の1程度が欠けていてもほとんどの人が気づかず、視野の半分ほどが欠けてやっと違和感を持つのが実情ですから、自己診断はまず無理でしょう。しかし、特殊な機械を使った検査では、自覚していない視野の欠損を発見することができます。
眼底検査は労働安全衛生法に定められた定期健康診断の項目には入っていません。しかし、希望すれば追加で行えるケースもあります。それがなかったとしても、40歳を超えたら、必ず1回は受けておいたほうがよいでしょう。眼科で検査を受ける場合、保険診療で視力や眼圧検査を含めて費用は概ね1500円~3000円程度です。
■早期発見なら点眼薬で治療
緑内障では眼圧が異常であっても正常であっても、眼圧を下げる治療に効果があります。 繰り返しになりますが、失った視野を回復することはできないでの、進行を止めたり、遅らせたりするという治療になります。
早期で発見されれば多くの場合、眼圧を下げる点眼治療のみで不自由なく生活を送ることができます。ただし、大切なのは目薬のさし方です。緑内障の薬はその効果が十分でないと、レーザー治療・手術が必要となったり、失明まで進行してしまったりする恐れもあります。
間違った目薬のさし方とは、目薬を目に入れてから「目をぱちぱちする」「眼球を動かす」という方法です。こうしてしまうと涙が分泌され、目薬が薄まってしまいます。
正しくは、目薬をさしたら静かに目を閉じ、目頭のあたりを押さえます。目頭を押さえることで、目薬が鼻を通り口へと流れていくのを防ぎます。鼻や口へと流れてしまうと効果が減ってしまいます。
点眼治療で改善が見られない場合は、眼圧を下げるための手術を行うことがあります。最近ではこれまでより時間も短く、負担の少ない手術が可能になりました。
■40歳を超えたら一度は検査を
毎年、年度初めは健康診断を行う企業が多い時期です。働き盛りの40代は老眼が始まったり、長時間のパソコンの作業で目がかすんだりすることが多いと思います。緑内障は何よりも早期発見が重要ですので、目の不調を少しでも感じたら、老眼や目の疲れと決め付けず、一度は眼底検査などを受けたり、眼科医に相談したりしてください。
プロフィル
平松 類(ひらまつ・るい) 1978年、愛知県田原市生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業。福島県郡山市今泉西病院、山形県米沢市三友堂病院眼科科長・彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長などを経て、現在、二本松眼科病院医員(東京都江戸川区)。著書に『緑内障の最新治療』(時事通信出版局)など。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180403-00050111-yomonline-life
みんなのコメント
はっきり確認できる黒い斑点ではなく、白いモヤのような感じです。
私は、右目の中心 左上が視野欠損しています。
44歳で正常眼圧緑内障になり近視にもなってきました。
年に一度、眼科で眼底検査を受けてください。
緑内障の可能性が見つかっても、治療と投薬でリスクは非常に小さくできるからね。
父は網膜剥離や緑内障で光を失ったし、自分も同じ懸念に怯えている。そういう人が少なくなればいいね。
緑内障は進行してからでは手術を受けても手術の侵襲で視野が飛んでしまうこともあります。また、手術自体が進行を食い止めるものであり視野を取り戻すようなものではないためインフォームド・コンセントをしっかり理解していないと術後のドクターショッピングにつながります。
記載がありませんでしたが、両眼でものを見ても気が付かない欠損は片眼でものを見ると稀ですが気がつくこともあります。
他に使っている薬はありますか?と聞いたときに目薬だから言わなくていいかと思わないでください。
飲み薬で緑内障の人には禁忌の薬とか注意する薬とかあるので、お薬手帳持ってこないで、申告もないとこちらはわからないので、あとから文句言われても対応ができません
定期健康診断の項目には含まれていないね。
一度失われた視野は戻らない。
発症年齢が早ければ早いほど進行が速い。
治療は進行を遅らせるだけ……
本当に恐ろしい病気。
父が運転中、
車をバックさせようとしたら、大きい柱があって、
バックできないと言いだしてね。ぶつかりそうだって言うので。
後ろ見ても
大きい柱なんてどこにもなくてね。その頃もう罹っていたのだろう。
目の周りが黒くなるのですよねえ。目薬。
あれ、なんとかならないのだろうか。
正常眼圧緑内障が多い事、眼圧が正常値でも目薬で眼圧を下げる事が有効、眼底検査をしないと緑内障かどうか判明しない、目薬の付け方。
緑内障とわかっても目薬をきちんとつけなければ、眼圧は安定せず、症状は進みます。
将来的に視野は狭くなり失明の可能性も出てきます。
記事のとおり、今の医療では失った視野は回復しません。
私も正常眼圧緑内障です。
痛みもないし、視野はほぼ正常ですが、眼底は完全な緑内障の変化があります。
まだ30代なので残り半世紀生きるとして、目薬をきちんとつけなければ確実に失明します。
こんな風にきちんとした記事が出て、少しでも緑内障への理解がされたらいいと思ってます。
気付けば失明もと心配しましたが、失明寸前で気付くんですね
じゃあ何とかなりますね
・・・ってか?
中途半端なタイトルつけてんじゃねーよ
気合で治る病気ってどんな病気なの?
眼底検査を受けると2~3割の人に視神経乳頭陥凹拡大の疑いの所見を下されます
しかし、視神経乳頭陥凹は生理的拡大といって元々大きい人がそこそこの割合でおり、中長期で経過観察を行っていないと生理的拡大とは解りません
専門医による再検査を受け問題なしとされても、保険会社はこの所見がある場合、視覚障害に対する免責を必ず盛り込もうとします
そのため、保険加入に必要な検査ではない眼底検査は受けない方が良いのです
視野がかけてきたので評判の良い眼下に行ったのですが、
視神経が少し白っぽいが問題ないと言われました。
他の眼科では、立派な緑内障と診断されました。
緑内障の看板を掲げている眼科でも、得意分野じゃない医師も
いますので、よく情報収集して受診することを経験上おすすめいたします。
片方ずつふさいでチェックすれば、ぜんぜん気づかない事は無いと思う。
10年以上前、目にごみが入って眼科に行ったら、
あらゆる検査をして「眼圧が正常範囲だけど高め、悪いけど検査入院して」だった。
帰宅してから電話で入院を断った。
注意しているけど、最近視力がむしろ良くなって、眼鏡無しで新聞読んだりだ。
身内に緑内障の人がいたら検査すすめる。
ぶどう膜炎による眼のかすみで眼科を受診したが、何が原因で緑内障になったかわからない。
サルコイドーシスは回復傾向にあるが、緑内障は治らないから一生目薬は手放せないだろうな。
。土日祝日やってるからとか、駅から近いからとかではなく、専門医の先生のいる眼科できちんと診てもらうべきだと強く感じました。
特に視野検査は人によってはかなり難しく検査。
そこまでやっとも、1回の検査では断定出来ない。
限られた時間で沢山の人をさばく健康診断では対応するのは難しいだろうね。
(自分の運転で)車で行くと車で帰れません。
検査のために瞳孔を開くので、医師から4~5時間は運転禁止と言われます。
私は初めての検査の時にうっかり車で行ってしまったので、1時間かけて歩いて帰りました。
タクシー代もったいなかったので。(笑)
(実母が緑内障だったので、年一回検査しています。今のところ異常ありません。)
晴れているとかなり眩しくなるので、曇の日がお勧めです。
徒歩の場合は、帽子とサングラスがあった方がいいかも。
テレビ画面を砂嵐状態にして、片目で画面を見るというもの。一部でもおかしな見え方(私の場合は一部ガラス越しみたいに見える部分があります)があれば、眼科で検査してもらうことをお勧めします。
ちなみに私は早期発見できました。
もあり、緑内障のリスクが大だと思いますが、
眼底検査を何度もやっていますが、未だに
緑内障だと診断された事は一度もありません(笑)
それに、病院は何度眼圧検査をやっても、だだの
一度も数値を知らせてくれた事はありませんよ。
20人に1人が緑内障だというなら、もっと
データの詳細を公表したらどうですか?
今は生後半年の息子に遺伝してないかが不安ではあります。
個人差は有るものの、ほとんど完治するらしい。
日本の製薬会社は優秀だ。
2ヶ月分で片目1300円くらい。これをあと60年くらいやると思うとウンザリだね。失明するより良いけど!
左目は網膜が通常の半分になっていて、
既に末期に近い状態でした。
この記事の通り、かすみや老眼だと思ってました。
2年前の人間ドッグの結果を見たら、兆候があったにのに自覚症状が無かったのでスルーしてました。
後悔してます。
絶対健診した方が良いです。
大した金額でもないし
そのとき、緑内障(疑い)が見つかりました。
とにかく失明だけは回避してくれ、と医師にお願いしているところです。
ほんと、定期健康診断の検査項目に入れて欲しいです。
液晶画面見る時代だから、なおさら。
必要最低限で眼を使う生活に切り替えた。
PC切って定時でさっさと帰る。バカホは使わない。
TVはチラ見。
コメントはサッサと記入。
でも緑内障になると医療保険に入るのも厳しくなることは意外と書かれていない。これも結構重要だと思うんだけどな。
白内障は濁るだけ
そして老眼の時期と重なるので判断しづらいのです
健康診断の目的は
検診機関の雇用の創出と
メタボ薬の販促です。
初めて受けた時に「緑内障の疑い」と出た
もうあせりまくり、地元の複数の眼科や大学病院で二次検査したが、
どれも緑内障ではない、と診断された
現在は眼底検査ではなく、目薬で30分ぐらいかけて目をぼやかして
医師に診察してもらうやり方に変わったもよう
それも何回かやっているが、異常はない
現在41歳
父親からの遺伝
失明が先か、君の寿命が先か、どっちかだね!
と医者は言った。
子供に遺伝しちゃったかなぁ~って、少し心配。
Windows10を使っている人は「夜間モード」の積極的活用を、
それ以外のOSの人は色調整して目に負担を掛けないようにしましょう