社会問題にも発展した「あおり運転」
近年、話題となっている「あおり運転」の問題。2017年6月に東名高速で発生した「あおり運転」による死亡事故をきっかけに、世間での注目度が高まり、ドライブレコーダーの普及でSNS上に「あおり運転」に関する投稿が増加するなど「社会問題」となっています。
警察庁は、2018年1月に全国の警察署に「あおり運転」などの悪質・危険な運転に対して、危険運転致死傷罪・暴行罪などを適用し、厳正に捜査するよう通達。
これにより、事故に至っていない場合でも「あおり運転」による暴行や脅迫などの事実が認められると、免許停止などの行政処分を行なえるようになりました。
最近のニュースでは、被害者側の話を取り上げることが多いですが、「自分はあおり運転なんてしない」と思っている人でも、気づかぬうちに挑発的な運転をしている場合があります。
チューリッヒ保険会社による調査(全国の2230人を対象)によると、運転中に他のドライバーに対してカッとなり、挑発的な運転をしそうになることがある人の割合は37.0%と約4割を占めました。
2017年の1年間では、急接近や急ブレーキ、急な割り込みなどの事故を誘発するような「あおり運転」は7千件以上摘発されています。
また、今回の調査では、全体の70.4%が「あおり運転」された経験ありと回答。なかでも、『車体を接近させて、もっと速く走るように挑発された』、『車体を接近させて、幅寄せされた』といった、『車体を接近』させる行為が多いことが判明しています。
具体的には、『信号で停車したら、そのあとずっと左右にあおられた(女性/46 歳)』や『追い越して前方停止で進路をふさがれ、千円を搾取された(男性/56 歳)』など回答しています。
安全運転をしても、あおられる可能性は大
あおり運転をされた経験のあるドライバーに、普段の運転について聞くと、『十分な車間距離を保つ』、『ウィンカーは早めに出す』はともに92.8%、『進路を譲る』は90.8%と割合が高く、マナーを守り安全運転を心がけていることがわかります。
また、運転に自信が『ある(17.0%)』、『どちらかといえばある(53.8%)』と約7割の方が回答していることから、運転に不慣れな初心者だけでなく、普段から安全運転を心がけていて運転に自信のあるドライバーでも、あおり運転の被害にあう可能性があるという意識が必要です。
では、「あおり運転」に合わないためには、どのようなことが重要なのでしょうか。九州大学大学院システム情報科学研究院 志堂寺 和則教授は次のように話します。
――「あおり運転」にあわないためにはどうすればよいですか。またトラブル時の正しい対処法とは?
あおられた経験がある人が多いことからもわかるように、運転時には感情的になってしまうドライバーもいるため、誰しもあおり運転の被害者になってしまう可能性があります。また、あおられやすい車の多くは、軽自動車やコンパクトカーなどの小さなクルマです。
それらのクルマには「大人しい人が乗っていて、『あおり運転』をしても反撃しないだろう」という、
弱い者いじめをする時と同じような読みがあるのだと思います。特に「あおり運転」の標的になりやすいクルマに乗っている人は、車線変更や追い越し車線を走る時には十分な注意が必要です。
「あおり運転」によるトラブルに巻き込まれそうになったら、挑発にのらず、交通法規を遵守して冷静に対処することが重要です。同乗者がいる場合は、110番通報、ナンバーなどの記録、動画撮影をしてもらうと良いです。いち早くその状況から抜け出すためにも、後続車があおってきたらすぐに道を譲りましょう。
※ ※ ※
実際に、「あおり運転」に巻き込まれてしまった場合に、『警察に通報した』人は、2%未満(チューリッヒ保険会社による調査)という回答で、
道を譲るなどの対処はするものの、警察に通報する人はごく僅かだということがわかりました。
普段、安全運転を心がけていて、自分はあおり運転など絶対にしないと思っている人でも、運転中に思わずカッとなったり、
イラッとしたりする瞬間はあります。「あおり運転」の加害者または被害者にならないためにも、どんな時も平常心を保ち、相手を思いやる運転を心がけることが大切です。
くるまのニュース編集部
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180908-00010002-kurumans-bus_all
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