日本銀行は31日、消費者物価の見通しを7月に続き一段と下方修正した上で、さらに下振れリスクの方が大きいとの判断を示した。
日銀が目標としている2%の達成がさらに遠のいた。同日の金融政策決定会合では、現行金融政策をすべて据え置いた。
同日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で日銀は、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率見通し(政策委員の中央値)を2018年度から20年度まですべて下方修正した。
18年度が0.9%(前回7月は1.1%)、消費増税の影響を除く19年度は1.4%(同1.5%)、20年度が1.5%(同1.6%)。実質国内総生産(GDP)成長率はおおむね不変とした。
黒田東彦総裁は同日の会見で、「経済、物価共に下振れリスクの方が大きい」とし、米中の貿易摩擦のエスカレートが「米中のみならず世界貿易、世界経済全体に与える下方リスクに一番注目している」と説明。
「大きな下方リスクが顕在化して、経済物価見通しに大きな影響が出てくることになれば、金融政策自体を調整するということになる」と語った。
金融面の不均衡リスク
展望リポートでは、低金利環境や金融機関間の厳しい競争環境が続く下で金融機関収益の下押しが長期化すると、「金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがある」と指摘。
「先行きの動向には注視していく必要がある」とした。日銀が13年4月に異次元緩和を開始して以来、展望リポートで金融面の不均衡リスクを「注視していく必要」と明記したのは初めて。
黒田総裁は、金融機関収益の低下について、「地域金融機関は潤沢な自己資本を持ち、流動性も十分あるので、直ちに問題が生じることはない」としながらも、「長い期間では影響が出てくる恐れがある」との見方を示した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは発表後のリポートで、
金融面の不均衡リスクの点検で留意コメントが付いたことは「黒田日銀の金融政策判断において、従来よりもマクロプルーデンス(信用秩序維持)の観点を重視していく可能性を示した」と指摘した。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181031-55948067-bloom_st-bus_all
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