直近の有効求人倍率が44年ぶりの高水準を記録するなど、空前の売り手市場となっている転職事情だが、詰めかける希望者に対し、正社員の求人が圧倒的に少ないのが、いわゆる一般事務職だ。
ハードな働き方を続けることに疲れたり、家庭との両立を考えたりする女性の求職者の多いことが特徴だが、市場の需給バランス以前にそもそも、職場から多くの一般事務の仕事が消え始めている。
営業はもういいや
「結婚後も長く働きたいけれど、営業職はもういいや」大学卒業後、北陸地方の地銀で、個人向け商品の営業職をしていたアユミさん(24、仮名)は、学生時代から交際する彼氏との結婚が視野に入ってきた頃から、転職活動を始めた。
彼が関東在住のため、関東に拠点を移すことを考えたのと、顧客のニーズよりも厳しいノルマの達成が第一に来る営業のやり方に「これって顧客のためになっているのかな」、仕事そのものへの疑問や疲労感もかなりあった。
「次は事務職で探したい」
都内の転職エージェントを訪ねたが、そこでの反応は意外なものだった。転職は売り手市場と聞いていたのにもかかわらず……。
例えばリクルートキャリアの調査を見てみても、6月の転職求人倍率(登録者1人に対して、求人数が何件あるかを算出した数値)は全職種で1.77倍、
「インターネット専門職」や「ソフトウエア開発エンジニア」であれば4倍以上という好条件の中で、「オフィスワーク事務職」の求人倍率は0.39と、1人あたり1件を大きく割り込む。
アユミさんが望むような一般事務の仕事は、そもそも「正社員の求人自体が少ない」(エージェント)と言われたのだ。
印刷業界で長年、営業を担当してきたミナさん(36、仮名)は、結婚したのをきっかけにやはり事務職を希望するようになった。外回りの営業の仕事は、ノルマも残業もあって肉体的にも精神的にもハードだ。
できるだけ早く子どもが欲しいこともあり、家庭生活を整えようと思うと、仕事の負担や責任を減らしたかった。転職が決まるより先に退職してしまったこともあって、「年齢的にもこれまでの経験的にも、多くは選べない」と自覚はしていたが、20社近く応募しても、8割は書類で落とされ面接にも至らなかった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180807-00010000-binsider-bus_all
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