深刻な人手不足で人件費や物流費が高騰し大きな経営課題となっている産業界は、政府が決めた外国人労働者の受け入れ拡大を歓迎する。
ただ、受け入れ規模や方法など詳細を決めずに進めるやり方に労働組合からは「民族間の差別感情につながりかねない」と懸念の声が上がるなど、期待と不安が入り交じっている。
「極めてウエルカムだ」。牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズホールディングス(HD)の瓦葺(かわらぶき)一利社長は法改正実現に期待を寄せる。既にアルバイトの約2割が外国人。新業態、新店などを積極的に進めたいが、人材確保がネックとなる中、外国人材の活用は不可欠だ。
喫茶チェーン「英國屋」を展開する三和実業(大阪市)では厨房(ちゅうぼう)業務で中国やベトナム出身の外国人労働者を採用しているが、
留学生は勤務時間に制約があり、なかなか増員できないことが課題だった。広報担当者は「制度が改正されれば、スキルやモチベーションの向上にもつながる」と語る。
ホテル業界などでも期待は大きい。ある大阪市内のホテルではベッドメークなどの客室清掃係などは過半数が外国人スタッフだ。
訪日外国人客の増加を背景に、ホテルの出店ラッシュが続く中、外国人労働に頼らざるを得ないのが実情で、関係者は受け入れ拡大は「宿泊業共通課題の解決の第一歩」と評価する。
人手不足が深刻化する建設業や製造業での代表格とされる造船業界も期待する。大東建託は「継続して日本で働く選択肢が増えることはメリット」との見解。
グループの造船所では1割強が外国人技能実習生となっているサノヤスHDの上田孝社長は「在留期間が延長されれば、育成システムを今以上にしっかり構築していかなければならない」と、改正後をにらむ。
現時点で受け入れ拡大業種は14分野が検討される。これに含まれないコンビニエンスストア業界は追加の受け入れを希望する。
大手コンビニ各社は、来店客対応が楽になる自動釣り銭機能付きレジへ切り替えるなど、外国人材の活用拡大を見据えた取り組みを進めている。
一方、労働組合の中央組織である連合の神津里季生会長は「今の進め方は拙速すぎる」と懸念を示す。外国人受け入れの「入り口を間違えると、民族間の差別感情につながりかねない」と指摘する。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181102-00000000-fsi-bus_all
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