えっ? 続投なのか――。驚いたG党は数多いはずだ。巨人の山口壽一オーナーが高橋由伸監督の来季続投を要請するという。
9月12日に行われたプロ野球オーナー会議に出席後、メディアに対応し、今季で3年契約の契約が切れる指揮官の去就について来年以降もタクトを振るってもらいたい意向を明かした。
セ・リーグはマジックを1桁とした広島東洋カープの3連覇達成が目前。一方の巨人は4年連続となるV逸決定の悪夢が刻一刻と近づいている。
高橋監督としては就任以来、3シーズンで1度も優勝経験がないのだから屈辱極まれりだ。しかも12日現在で3位とはいえ、最下位の中日ドラゴンズとの差はわずか3.5ゲームしかない。
加えて1.5ゲーム差で追走する4位の阪神タイガースが残り試合を巨人より10試合も多く残している点は非常に気がかりだ。
巨人がクライマックスシリーズ出場権を得るAクラスの座を死守できる保障はどこにもなく、2年連続のBクラス転落危機どころか43年ぶり2度目となる恥辱の最下位に沈む危険性もまだはらんでいる。
こんな体たらくなのに何で続投要請を出せるのかと不思議に思いたくもなるが、山口オーナーの評価ポイントは高橋監督の若手育成面にあるようだ。
確かに今季はいわゆる“ヤングG”たちの成長が著しい。昨季までわずか通算1本塁打しかマークしていなかった岡本和真内野手が今季は30号の大台に乗せ、打点も100打点に迫る勢い。今のところ打率も3割台をキープし、巨人の第89代4番打者として完全に覚せいした。
ケガで戦線離脱中ではあるものの吉川尚輝内野手も二塁手としてブレイク。3年目の重信慎之介外野手はネックと言われていた打撃で着実に成長の証を見せ、自慢の俊足を生かしながら機動力の面でもチームにとって貴重な戦力となりつつある。
「高橋監督、続投」の推論
こうしたヤングGたちの成長に関し、山口オーナーは「監督やコーチ陣が力を合わせて若手を育てようとしたのも大きかったと思う」と現体制の育成能力を評価。
あえてチーム成績には目をつぶる格好で「まだペナントレース途中だからこの先のことはあれこれ言える時期ではないけれども十分にチームを整えて、
監督には腕を振るってもらいたいな、というふうに私は考えている」と多くのメディアの前で指揮官を続投させたい意向を世に示した。
だが、周辺からは「オーナーの発言は額面通りに受け取れない」「まだ、どうなるか分からない」などと指摘する声も聞こえてくる。
高橋監督は3年前の2015年オフ、当時の原辰徳監督が退任したことを受け、球団側からの指揮官就任要請を受諾。
現役にこだわり続けていたものの球団幹部ら有力者たちの強い説得に応じ、引退して即座に監督就任という大役を引き受けた経緯がある。球団OBの1人はこう言う。
「3年前の由伸は、まだまだ自分は選手として戦えるし、しかもいきなり監督なんてできるわけがないと考えていた。
由伸のことをよく知る人間ならば、誰もが彼はそういう気持ちだったと感じていただろう。もちろん球団側だって、それは分かっていたはず。
しかし筆頭の後任候補にしたかった超大物OBの松井(秀喜氏)にその気がまるでなく、原に代わる次の適任者が由伸しかいなかった。だから無理を承知で頭を下げ、彼になってもらうしかなかった」
そう考えれば無理矢理、現役を引退させて指揮官になってもらった高橋監督のことは、簡単に“ポイ捨て”などできるわけがない。
しかも、ちょうど原前監督からバトンを引き継いだ16年シーズンはそれまで主力を務めていた阿部慎之助捕手や先日引退した村田修一内野手らベテラン選手の力が徐々に衰えを見せ始め、
これから本格的に若手への切り替えが求められる過渡期にさしかかろうとしていた難しいタイミングでもあった。
実際、プロ野球界で「原はちょうどいい時に辞めたが、由伸は貧乏くじを引かされてしまったのかもしれない」という指摘は今でもよく飛び交っている。
こうした負い目があるからこそ、山口オーナーは続投要請する意向を示すしかなかったのではないだろうか――。そう推論を立てる有識者は1人や2人ではない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180913-00000068-zdn_mkt-bus_all
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