日銀は31日開いた金融政策決定会合で、金融緩和の持続性を高めるため、長期金利の変動幅を広げることを決めた。金利が一定程度上昇することを事実上容認する。年間約6兆円規模としていた上場投資信託(ETF)の買い入れ額も増減を認める。今回の会合では物価の見通しを下方修正し、超低金利政策の一段の長期化が避けられなくなったため、緩和の副作用を軽減する狙いがある。
◇長期金利の上昇容認
金融政策の修正は、現行の「長短金利操作」を導入した2016年9月以来、約1年10カ月ぶり。短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度とする現行の政策金利は据え置いた。
そのうえで、会合後に発表された声明には長期金利について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」と明記。会合後記者会見した黒田東彦総裁は変動幅について、これまでの「プラスマイナス0.1%程度」から「プラスマイナス0.2%程度」に変更することを明らかにした。
また、将来の政策を予告する「フォワードガイダンス」と呼ばれる手法を導入することを決定。「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」として、緩和の継続を約束した。
会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、18年度の物価上昇率見通しを前回4月の1.3%から1.1%に、19年度を1.8%から1.5%に、20年度は1.8%から1.6%にそれぞれ引き下げた。2%の物価上昇目標の達成は、21年度以降にずれ込む見通しだ。
日銀が長期間にわたり大量に国債を買い入れ、超低金利水準に抑え込んでいることで、金融機関の収益悪化や国債市場の取引激減などの副作用が強まっている。
日銀は、フォワードガイダンスの導入で緩和継続の姿勢を示す一方で、副作用にも配慮することで政策の持続性を高める考えだ。金利の変動幅が拡大することで市場取引の活性化が見込めるほか、金利が一定程度上昇すれば、金融機関の負担軽減にもつながる。
特定の株価指数に連動するETFの大量購入についても、株式市場をゆがめる弊害が指摘されていた。買い入れ額の柔軟化に合わせて、東証株価指数(TOPIX)に連動したETFの比重を高めることも決め、特定の株式に保有が偏らないよう改めた。
黒田総裁は政策修正について「市場取引を改善し、金融緩和の持続性が増す」と狙いを語った。【土屋渓】
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180731-00000103-mai-bus_all
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