日産自動車は8月27日、中国市場に初めて投入する電気自動車(EV)「シルフィ ゼロ・エミッション」の生産を始めたと発表した。同社の西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)は現地の生産工場でのセレモニーに登壇し、「中国はすでに世界最大の市場だが、規模だけでなく、
EVやコネクテッドといった新技術の面でも非常に早いペースで進化が始まり、特にEVの普及・拡大において今後世界をリードしていくとみている」と、中国市場にかける意気込みを語った。
トヨタ自動車も先ごろ、中国で新工場を建設して生産能力を2割拡大する考えを明らかにしている。これまでアメリカを最優先としていた日本の自動車メーカーは、トランプ大統領が関税を振りかざす強硬路線を変えようとしないことから、海外事業の軸足を少しずつ中国にシフトしているとみられる。
トヨタは8月3日に「アメリカが自動車や部品を対象に最大25%の追加関税を発動した場合、年間4700億円程度の負担増になる」と公表。27日にはアメリカ・ケンタッキー州で生産する「カムリ」についても、1台あたり1800ドルのコスト増になるとの試算も示している。
アメリカのカントリーリスクは間違いなく高まりつつある。
中国が日本車と欧州車を爆買い
アメリカでの動きと逆行するように、中国では7月にトヨタの高級車「レクサス」の売り上げが記録的な伸びを示した。これはトランプ大統領のおかげと言っていい。中国は、貿易赤字削減へ向けて関税引き下げを求めるトランプ大統領に妥協する形で、7月1日から自動車の輸入関税を25%から15%に引き下げていた。
ところがその後、トランプ大統領が中国に対して矢継ぎ早に関税を発動させたことから、報復措置として、中国はアメリカからの輸入自動車への関税を40%まで引き上げた。結果として、日本車や欧州車の輸入が伸びたのである。
日本経済にとってのトランプ政権の功罪を考える時、盛んなメディア報道などによる先入観もあって、罪の面にばかり目が行きがちだが、功の面も意外にあることを見落としてはならない。中国市場におけるトヨタや日産の投資拡大、レクサスの販売急伸などはまさにその表れと言えるだろう。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180903-00010000-binsider-int
みんなのコメント