2017年12月に創業50周年を迎えた「餃子の王将」を運営する王将フードサービスの業績が好調だ。17年の組織改正で新しく設置した社内教育部門「王将大学」と「王将調理道場」が奏功し、QSC(品質・サービス・清潔さ)が向上したのが要因と同社は見ている。2019年3月期の第1四半期における直営全店の売上高は、180億2700万円(前年同期比7.3%増)、客数1929万人(同8.4%増)と、一時期の低迷状態を脱出した。直営既存店も、売上高が同4.1%増、客数が同5%増となっており、完全に復活を果たした。
今回は、餃子の王将が復活した背景を探ってみたい。
前社長の死を乗り越えて
18年7月の単月ベースにおいて、売上高は直営全店で対前年同月比4.5%増、直営既存店は同1.9%増となっている。客数も直営全店で同3.9%増、直営既存店で同1.2%増と好調を持続した。店舗数は734店(18年7月末時点)で、直営店が510店、FC(フランチャイズ)店が224店となっている。顧客単価は直営店実績で958円だ。
王将フードサービスの売上高(連結)は、15~17年にかけて3年連続で減少していた。ところが18年3月期は781億1700万円(前年同期比4.0%増)となり、過去最高を更新した。直営店既存店における売り上げの伸び率も1.4%増となった。新規出店のみならず、既存店の底上げが目立っている。
王将フードサービスは13年12月に、信望が厚く同社を東証1部上場企業に導いた前社長・大東隆行氏が京都市山科区の本社敷地内で何者かに射殺された。
渡邊直人常務が新社長に就任したが、いまだ犯人は逮捕されておらず、真相は究明されていない。社内では突如大黒柱を失ったことによる喪失感が広がり、社員に落ち度があったわけではないが、客足も鈍くなって低迷を余儀なくされていた。
ギョーザ市場の変化に乗り遅れた
渡邊氏が社長に就任した14年3月期における王将フードサービスの売上高(連結)は762億8100万円(前年同期比2.6%増)だったが、直営既存店の売り上げは1.6%減、経常利益は20.4%減だった。この頃からギョーザ市場に変化があり、対応への遅れが顕在化し始めていた。ちまたでは新たなギョーザブームが起こり、宇都宮や浜松にあるようなご当地ギョーザに加え、首都圏や関西圏をはじめとする大都市を中心に、“女子受け”するギョーザ店やギョーザをメインとする居酒屋が台頭してきた。
声優の橘田いずみ氏がギョーザ評論家として活動を始め、14年5月には『橘田いずみのザ・餃子』(角川書店)といったギョーザ愛にあふれた本を出版。
渋谷と青山の「立吉餃子」や、青山の「ギョウザバー・コム・ア・パリ」などの新鋭店がワインに合うギョーザを提唱。器や内装にもおしゃれ感が漂う雰囲気を提案し、これまで考えられなかった“餃子女子”が大量発生した。
一方で、11年に誕生したギョーザ専門大衆居酒屋「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」は東京都西部を中心に60店舗超を展開するまでになった。肉汁が飛び出すようなジューシーさと、昭和の大衆酒場をイメージした店づくりが売りで、類似店が多数生まれた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180904-00000010-zdn_mkt-bus_all
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