翁長雄志(おながたけし)知事の死去に伴う沖縄県知事選は30日投開票され、翁長氏の後継として米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画に反対する元自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏(58)が、
移設を進める安倍政権が支援した前宜野湾市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3氏を破り、初当選した。
政府は移設を計画通り進める方針だが、玉城氏は「あらゆる権限を駆使して阻止する」としており、今後も政府と沖縄の対立が続く。玉城氏の得票は沖縄県知事選で過去最多得票となった。
1996年の日米両政府による普天間飛行場の返還合意以降、知事選は6回目。移設阻止を掲げた翁長氏が移設推進を訴えた現職を大差で破った2014年の前回選に続き、辺野古移設反対の強い民意が改めて示された。
一方、9月の自民党総裁選で3選した安倍晋三首相は10月2日に内閣改造を行うが、全面支援した佐喜真氏の敗北は来年の統一地方選や参院選を前に大きな打撃となった。
辺野古移設を巡っては、政府が17年4月に護岸工事に着手したが、県が今年8月末に埋め立て承認を撤回して工事は法的根拠を失って止まっている。政府は工事再開のために法的措置を取る構えだが、移設反対の玉城氏の勝利を受けて県民の反発が強まるのは必至だ。
玉城氏は8月に膵(すい)がんで急逝した翁長氏の後継として、辺野古移設に反対する共産や社民などの政党や企業、団体からの支援を受けた。
選挙戦で「翁長氏の遺志を継ぎ、辺野古に新基地を造らせない」と強調。政党の推薦は受けずに、前回選で保守の一部と革新が辺野古移設反対で共闘した「オール沖縄」態勢の再構築を狙った。
前回選以降、「オール沖縄」勢力から一部の保守系議員や企業が離脱するなどしたが、「イデオロギーよりアイデンティティー」「誇りある豊かさを」と翁長氏のスローガンを繰り返し使って「弔い合戦」をアピール。無党派層にも浸透して幅広い支持を集めた。
自民県連が擁立した佐喜真氏は、普天間飛行場の早期返還を強調する一方、辺野古移設の賛否を明言しない戦略を徹底した。移設問題で政府と対立した翁長県政からの転換や政権と協調しての経済振興を訴えた。
菅義偉官房長官が9月に3回沖縄に入るなど政府・与党は異例の態勢で組織戦を展開。県本部が辺野古移設に反対のため前回選は自主投票に回った公明も、
今回は推薦して全面支援した。だが、翁長氏が知事就任後も埋め立て工事を強行した安倍政権への反発は強く、支持を伸ばせなかった。
初当選を決めた玉城氏は「辺野古に新しい基地を造らせないという誓いをぶれずにしっかり貫いていく」と移設阻止の決意を述べた。
そのうえで「(県による辺野古沿岸部の)埋め立て承認の撤回は公有水面埋立法に基づく判断だ。それを守れないのは民主主義国家、法治国家ではない」と移設工事を強行する政府を批判した。
投票率は63.24%で前回(64.13%)を下回った。当日有権者数は114万6815人【遠藤孝康】
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180930-00000069-mai-pol
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