日本を代表するメーカーによる品質不正が後を絶たない。背景には、現場の負担増やガバナンス(企業統治)の欠如、人手不足といった共通点が浮かび上がる。
品質を強みとする日本のモノづくりを根底から揺るがす異常事態は一向に終わりが見えず、いつ新たな問題企業が出てきてもおかしくない状況だ。
◆迫られる納期順守
油圧機器メーカーのKYBは19日、免震・制振装置の検査データ改竄(かいざん)問題で、不正や不正の疑いがある免震装置が使われている国や自治体の庁舎70件の建物名を公表した。
このうち農林水産省が入る中央合同庁舎第1号館や愛知県本庁舎など11件は国の基準に適合しない製品が設置されていた。
顧客が要求した基準から外れた物件も17件あった。ただ大半は不正の有無は不明。対象は全国で1095件に拡大。
住居や病院は了承が得られず、今回の公表は全体の6%にとどまった。KYBによると、公共性の高い国や自治体庁舎の同意取り付けを優先したという。今後も所有者の了承を得られた段階で物件名を順次公表する。
「(日本メーカーは)激しい競争に直面し、コストダウンを求められる中で人員を削減してきた。余裕がなく、現場がおろそかになっている」
企業論を専門とする政策研究大学院大学の橋本久義名誉教授は、一連の不正の背景をこう指摘する。
昨年10月に神戸製鋼所が公表して以降、不正に手を染めていたことが発覚した企業は三菱マテリアルや東レ、日産自動車、SUBARU(スバル)と枚挙にいとまがない。
多くの不正で直接的原因として挙げられるのが、納期順守の重圧だ。
KYBの不正は少なくとも2003年に遡(さかのぼ)り、検査データ改竄(かいざん)の手口を検査員が引き継いでいた。不適合になると製品の分解や調整に時間がかかってしまい、
納期を守れなくなると判断したとみられる。納期順守の重圧は、神鋼や三菱マテリアルの不正でも原因の一つに挙げられている。重圧は、深刻なモラル低下や「基準から多少、外れてもよい」という甘えをもたらした。
KYBには、免震・制振装置の性能をチェックする検査員が1人しかいなかったという。コスト削減を優先する中で人手不足が常態化し、現場に重い負担がのしかかっていた可能性が高く、事実なら適切な人員配置を怠った経営陣の責任は重い
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181019-00000001-fsi-bus_all
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