例年にも増して大荒れだった今年のハロウィーン。当日を迎えた10月31日、東京・渋谷の繁華街には大勢の仮装姿の若者が集結し、異様な雰囲気に包まれた。直前の週末には興奮した若者たちが軽トラックを横転させるなど、さながら暴動のような「事件」も発生。
ルールを守って楽しむ人々も多い一方、平気な顔で路上にゴミをポイ捨てするなどマナー違反も目立った。年々過激さを増している感のある「仮装の祭典」を振り返る。
渋谷の街の様子が変わり始めたのは、午後3時すぎだった。スクランブル交差点付近に、首から黄色いメガホンをぶら下げた警視庁の機動隊員らが集まり、交通整理を開始。徐々に混雑具合も増していった。
午後5時すぎになると、仮装姿の人が増え出した。チャイナ服姿の女性やスーパーマリオのコスチュームを身に包んだカップルといった「定番」のほか、
平成最後のハロウィーンにちなんでか、「平成」と書かれた紙を収めた額縁を手に、小渕恵三元首相にふんしたユニークな女性グループの姿もあった。
この時間帯には、訪れた人々は知らない人同士で写真撮影をするなどして和やかに楽しんでいた。
映画「ミニオンズ」のキャラクターのかぶり物をした横浜市の大学2年の男性(20)は「夜になるともっと盛り上がると思う。マナーを守って楽しみたい」と笑顔。マントを羽織り、ツノをつけた小学2年の長男と一緒に訪れていた豊島区の主婦(29)は「日が暮れると危ないと思うので午後6時までには帰ります」と話した。
一方、暴徒化する若者たちを恐れて、駅周辺の店舗は自衛策に追われていた。渋谷駅近くのアイスクリーム店では、通常より1時間早い午後8時に閉店。「店が被害を受けたことはないが、やっぱり怖いので毎年(閉店を)早めている」。午後7時半過ぎには、早くも閉店作業を進めていた。
午後9時ごろになると、一帯は大混雑。普通に歩くのにも困難な状況になった。スクランブル交差点では、警察官の制止を振り切って赤信号でわたる若者らの姿も。夜が深まるにつれて気温が下がるのとは対照的に、アルコールの入った若者たちのボルテージはどんどん上昇していった。
「あのかわいい子、かなり酔ってたからいけそうだぞ」などと、人目をはばからず騒ぐ男性グループや、上半身裸で奇声を上げる外国人。理性のたがが外れたような異様な雰囲気に身の危険を感じたのか、走って駅の入り口に向かう女性の姿もみられた。
「ハロウィーンが皆さんにとって楽しい思い出となりますよう、思いやりをもった行動をお願いします」「ルールとマナーを守って行動してください」
すっかり有名になった警視庁の「DJポリス」が紳士的な口調で何度も呼び掛けるが、訴えもむなしく、スクランブル交差点近くの喫煙所の地面にはおびただしい量の吸い殻が散乱。酒の空き缶やお菓子の袋が路上に放置されたセンター街は、悪臭が漂っていた。
ゴミ袋片手に路上のゴミを拾っていく若者たちの横で、平気な顔をして飲みかけのチューハイの缶を路上に捨てる女性もいた。
「サッカーワールドカップではゴミを片づけて世界から称賛されたのに、ここでは外国人も日本人も一緒で平気でポイ捨てしている。東京五輪の時も、また同じように渋谷でお祭り騒ぎになって汚くなると思う」。練馬区の男性会社員(35)はこう吐き捨て、足早に渋谷を後にした。
さながら悪夢のような惨状に、長谷部健・渋谷区長は一夜明けた1日、来年からハロウィーンの有料制も視野に検討を進める考えを示した。
参加者のほとんどは、記者とほぼ同世代の若者たち。心から楽しみにしていた年に一度のイベントではしゃぎたい気持ち、普段の生活でたまったストレスを発散したいという思いはわかる。
警察の誘導に従って行動するだけでも、混乱はある程度防げるはずだが、自分勝手なふるまいが横行すれば、大事故や事件につながる恐れもある。
正直、今回のような有様では、渋谷でのハロウィーンが有料化されたり、最悪中止になってもやむを得ないと感じる。個人的に言えば、あの夜の渋谷は、仕事でなければ決して足を踏み入れたくない空間だった。
本来のハロウィーンのイメージは、仮装した子供らがかわいらしくお菓子をねだる、ほほえましい行事だったはず。子供が笑顔で参加できるようなイベントになるよう、来年こそは節度を持った行動を願いたい。(松崎翼)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181104-00000512-san-soci
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