対韓国、対北朝鮮政策を所管する外務省アジア大洋州局北東アジア課が7月1日付で、韓国担当の第1課と北朝鮮担当の第2課に分割される。分割反対論がある中で外務省が組織改編を断行した背景には、日朝首脳会談の実現も取り沙汰されるなど、朝鮮半島情勢が大きな転換期を迎えているという事情がある。
河野太郎外相が初めて北東アジア課の分割案を示したのは今年4月だが、省内ではすでに2年前から検討が始まっていた。
もっとも、日本政府は北朝鮮を国家として承認しておらず、課への「昇格」には外務省OBを中心に異論も根強かった。「北朝鮮は韓国のもとで統一されていくべきであり、南北を同列には扱わない」(元幹部)ことが従来の朝鮮半島政策の前提だったからだ。
しかし、北朝鮮情勢が大きく動き始めたことが北東アジア課分割論を後押しした。歴史問題などで摩擦が絶えない韓国との関係に加え、北朝鮮問題で昼夜を問わず対応が求められる北東アジア課職員の忙しさは省内随一だ。安倍晋三首相や外相が出席する衆参の予算委員会、外務委員会などで北朝鮮問題が取り上げられないことは珍しく、国会対応にも忙殺されている。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射は昨年11月29日を最後に止まったままだが、それ以前はほぼ毎月、多い場合には3週連続で発射が行われていた。
課が分割されることで、今後は人員補充がしやすくなる上、課長が2人の体制になれば意思決定も迅速になり、業務の効率化が見込まれる。省内では、北東アジア課とは別に朝鮮半島全体の安全保障に関する課を創設することも検討されたが、最終的に、1課と2課の連携を緊密にすれば問題ないという判断に至った。
国交のない北朝鮮との外交問題は一筋縄では前進が期待できない。外務省幹部は「いつも答弁書を書いてばかりでは仕事にならない。専門家に意見を聞いたり、本を読んだり考えたりする『インプット』の時間がなければ、よりよい対応策をひねり出す『アウトプット』がおぼつかなくなる」と訴える。外務省OBらの分割反対論を念頭に「先輩たちの時代とは違うということだ」とも語った。 (大橋拓史)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180701-00000003-san-pol
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