東京・目黒で起きた5歳女児の虐待死事件が話題になったことで、注目されているのが警察の対応。児童相談所が持っている虐待情報が、警察と共有されれば、より広範囲で迅速に対応できる――。それが、「虐待情報の警察との全件共有」である。
現在、全件共有を行っているのは高知、茨城、愛知の3県のみ。埼玉も今月、全件共有の方針を打ち出したが、それでもわずか4県だ。
これらの4県なら万全かというと、全件共有は必ずしもメリットばかりではないという。過去に「うさぎケージ監禁虐待死事件」なども起きた東京・足立区にある「こども支援センターげんき」に話を聞いた。
「区に相談される虐待案件は、ローリスクのものから複数回通報されているような重度のものまでさまざまです。相談を受けると、まず過去の相談歴(記録)を参考にします。記録がなくても、調査の結果、重篤な案件としたこともあるし、逆に何度かの通報の過程で支援を重ねて自立的な養育が可能になるケースもある。その一方で、悩み苦しみながらも助けを求められずにいる親もいます。虐待情報の取り扱いは十分な注意が必要です」
たとえば、子育てに悩むあまり、「虐待をしてしまいそう」「ときどき手をあげてしまう」という親がいるとしよう。そういう親は行政などに相談して、悩みが解消されると、深刻な虐待を防ぐこともできるだろうが、全件共有によって虐待情報が警察に共有されてしまうと、「警察」という言葉の響きから、親は「自分は犯罪者か」と萎縮し、内に閉じこもることもある。
それで、見えないところで虐待が悪化する可能性があるという。
「万引などで児童相談所に相談されたことのある子供たちは、親からの虐待が背景にあることもあります」
自治体によっては、警察がそんな子供の相談窓口の一つで、子供は警察から児相への全件共有を恐れるという。
虐待が疑わしい現場を見かけたら、市民はどう対応すればいいのか。警察に通報すべきなのは、どんなケースか。その基準を頭に入れておくことは重要だろう。
「まず通報するところとして、警察のほか児童相談所、さらに自治体の子供家庭支援センターなどがあります。どこに連絡するかは、人によって判断に迷うでしょうが、足立区では子供支援センターに電話してもらうようお願いしています。
重度の虐待と判断されると、センターから児童相談所へ連絡します。万が一、子供の生命に危険が及ぶようなときは、すぐ110番してください。警察の判断で子供を保護してから、安全に児童相談所へ送り届けていく仕組みがあります」
どんなケースであれ、見て見ぬふりをするのはよくない。虐待された子供を助けるのは、周りの大人の義務だと考えるべきだ。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180701-00000013-nkgendai-life
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