日本の総合電機メーカーが、勢いを失ったと言われるようになって久しい。ただ、一時は「 瀕死( ひんし) 」とさえ言われたものの、最近になって、各社の業績が回復基調に入りつつある。不採算部門の整理などのリストラも業績回復の一因だが、一方で「メーカーの家電作りの手法が変化している」と専修大学教授の中村吉明氏は指摘する。
「三種の神器」今は昔…
高度経済成長期、日本製の家電は「三種の神器」(電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビ)という言葉が示すように強烈な存在感を放っていた。
当時、市場は膨張し続けており、現在のように韓国、中国のメーカーといった強力なライバルも存在しなかった。高品質な商品を開発すれば、生産台数を超える購入希望者が殺到したため、心配は無用だった。
しかし、現在はサムスン電子やLG電子などの韓国メーカーのほか、日本や米国、韓国などのメーカーの受託生産(EMS)などで技術力を伸ばした中国メーカーが立ちはだかり、日本の総合電機メーカーは、海外はおろか、日本市場でもすっかり存在感を失ってしまったかのように見える。
また、英ダイソンも、イノベーション(技術革新)で飽和した市場を変化させた。強い吸引力を持つ充電式のスティック型掃除機や、羽根のない扇風機などの「突き抜けた」製品を武器に、今では日本市場を席巻している。
売却が続く日本の事業…
このように、消費者のニーズに鋭く反応し、安価に製品を提供する企業や、ニッチ(隙間)の市場に個性的な製品を投入する外資系などの企業が出現し、従来の「延長線上」で家電を作り続けてきた日本の総合電機メーカーは苦境に陥った。
三洋電機の白物家電(冷蔵庫・洗濯機)部門の中国・ハイアールへの売却、シャープの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業への身売り、
東芝の解体と白物家電部門の中国・美的集団(マイディア・グループ)、テレビ部門の中国・海信集団(ハイセンス)への売却……それぞれの原因は必ずしも「家電販売の不振」というわけではないが、結果として「日の丸家電」は瀕死の重傷を負ってしまった感がある。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180729-00010000-yomonline-bus_all
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