1988年、宮沢りえ主演で映画化された『ぼくらの七日間戦争』が、2019年にアニメ化されることが先ごろ発表され、話題を呼んでいる。原作は1985年に発表された宗田理氏の小説で、現在も続く“ぼくらシリーズ”の第1作目。

体罰あり、抜き打ち荷物チェックありの“管理教育”に反抗する中学生たちが、廃工場に立てこもって大人たちに“戦争”を挑むのだが、今年の5月5日に発表された、子どもに人気の本をランキングする『小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙』で8位を獲得するなど、依然人気が高い。なぜ30年もの時を経ても同作は支持されるのだろうか?

■美少女が戦車に乗って反乱!? ガルパンにも通じる名シーンが語り草に

『ぼくらの七日間戦争』は1985年、角川文庫から初版が発行されると、1988年には映画化。当時14歳の超絶美少女・宮沢りえが“戦車”に乗るという、今の『ガールズ&パンツァー』にも通ずるビジュアルイメージのギャップも話題を呼び、現在40代半ばの団塊ジュニアが青春真っ盛りの時期、彼らの熱い支持を受けて大ヒットを記録。児童小説ではないが、小・中学生でも読みやすく、いわゆるラノベ(ライトノベルズ)の走りとも言われており、後にシリーズ累計1700万部の大ヒットシリーズとなる。

しかし,1991年にシリーズ10作目となる『ぼくらの秘湯探検隊』を原作に『ぼくらの七日間戦争2』が公開されるも、興行的には振るわなかった。小説の“ぼくらシリーズ”自体は続いていたが、かつてのように小・中学生に圧倒的に支持されるまでにはならなかった時期もあったのである。

■図書館版の出版で再注目『小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙』で8位の快挙

小説はその後、ポプラ社から“図書館版”が出版されて再びヒットすると、2007年には同社から『ぼくらの最終戦争』までの11作を再録し、ヤングアダルトとして書き下ろしのイラストをカバーにした新装版を出版。さらに角川つばさ文庫でも再版され、子どもたちに再び注目されるようになる。

先日開催された『小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙』において8位にランクイン、小学校6年生の得票だけでみると堂々の1位を獲得している。初版から30年以上も経った作品が、10位以内には他にランクインしていないだけに、まさに“快挙”と言える。さらに言えば、ランキングは角川つばさ文庫版だけの集計なので、「他の出版社から出ているのも合算したら、もっと上位になることは間違いないだろう」と、こどもの本総選挙事務局プロデューサーは語る。

『ぼくらの七日間戦争』が子どもたちの人気を博しているのは、ポプラ社の“図書館版”の出版により、小学生が読む機会が増えたことも大きいだろう。また、「Yahoo! 知恵袋」に“あらすじ”を求める質問も多いことから、夏休みの読書感想文などの対象となっている可能性もある。そもそも今の小学生の親たちは、1988年の宮沢りえ主演の映画を観ていた世代が多い。自分の子どもに『ぼくらの七日間戦争』を薦めることも十分考えられるし、親子で一緒に読める本でもあるのだ。

もちろん作品自体が面白いからこそであり、実際、『小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙』で投票した子どもたちも、「大人たちの言うことを聞かないで、自分たちの『解放区』を作ったのがすごいと思って感動した」、「子どもでも怖がらずに大人と戦ったように勇気の大切さと、勇気があれば何でも出来るということを教えてもらったから」などとコメントを寄せている。

■“日大アメフト問題”にも通じる普遍的な構図 歪んだ教育者への反旗

それにしても、80年代当時に社会問題になっていた「管理教育」「不良」「体罰」などの教育の“ゆがみ”への反抗心を中心に描いた作品が、体罰を受けたこともほとんど無い現代の子どもたちに本当に共感されているのだろうか…といった疑問も残る。

しかし、やはり故・尾崎豊さんが「自由って一体なんだい?」と歌ったように、大人や社会に対する子どもたちの不信感・反抗心は普遍的なものなのかもしれない。現に、原作者の宗田理氏は「30年位上も前に書いた本が、いまだに読んでもらえているのは、子どもたちのやりたいことは今も昔も変わらないということだと思う」と分析している。

確かに今、世間を騒がせている「日大アメフト問題」にしても、監督・コーチより先に、悪質タックルをしかけた加害者生徒は顔と実名を公開して会見し、日大アメフト部員も、「監督やコーチにむやみに従ってきた、その姿勢が今回の事態を招いてしまった一因」と声明を発表。

まさに、汚い大人たちに子ども(生徒)たちが反旗を翻す、『ぼくらの七日間戦争』のキャッチコピー「悪い大人をやっつけろ」に近い構図だとも言える。

宗田氏はかつてのインタビューで、「(出版した80年代)当時は全共闘世代の子どもがちょうど中学生くらいで、学園闘争であんなに暴れたのに、自分の子どもは勉強ばかりさせて良い学校に入れようとしていた。それはおかしい、ちょっと違うと思って全共闘世代の大人に対するパロディとして書いた」(『ふたば便り』Vol.23より)と語っている。

今の子どもたちには学生運動も教師からの暴力も、もちろんないだろう。しかし、『ぼくらの七日間戦争』が世代を超えて人気がある。それは、子どもたちにとっての大人の代名詞たる、教師・学校に対する何かしらの“不信感”を潜在的に抱いており、自分たちが行動を起こすことによって、その不信感の対象を変革できるという“希望”を作品から感じ取っているのかもしれない。

スポンサーリンク


みんなのコメント

 

名無しさん
TMネットワーク好きだったなぁ。
名無しさん
672年
天下取る旨に
壬申の乱?
名無しさん
うまいのか下手なのか微妙な絵
bun
高所からジャンプして足の骨が折れた子がいたよね。テンションが上がったのか、女の前で格好つけたかったのか未だに解らん。
誰か教えて
名無しさん
一周二周、三周くらい回って
また時代にリンクしたのなら
是非今の子どもたちにも読んでほしい
無敵熾人
教育関係者の異常性が加速している昨今、このシリーズが廃れる事はあるまいよ。
パオーン来園者
映画からもう30年か。
あの頃の宮沢りえの可愛さは神がかってたな。
TMネットワークが手掛けたテーマ曲のSevenDayswarのイメージも強いけど個人的には挿入歌のGirlfriendも隠れた名曲だと思う。
名無しさん
2は話題にならなかったなあ
全然思い出せない
名無しさん
実写版に出た生徒役は宮沢りえ位しか残ってないかもな…
あ、アニメ版の主題歌は実写版と同じくTMNの「SEVENDAYSWAR」で。これだけはカバーを認めない。
名無しさん
友情・冒険的な、週刊少年ジャンプのモチーフみたいなのもメインテーマの一つに成ってるからね。
時代が変わっても、それぞれの小中学校当時の感性は、大きくは変わら無い。
そりゃあ代が変わっても小中学生のベストセラーに成るよ。
名無しさん
子供が成長する中で、想像力や好奇心を掻き立てられるから人気なんだと思う。
名無しさん
高校生くらいまでに当時出でたシリーズ全部読んだなぁ。悪い大人を成敗する作品だったから面白いと思ったんだろうな。
今読んだらまた感想違うかも。笑
名無しさん
確か1作目だったと思うが、
「学校に絶対なくちゃならないものって何だと思う?
机や椅子は青空教室でもいい、教師はテキストでもいい、でも生徒がいなくちゃ成り立たない。
生徒は絶対必要なんだ」
みたいなフレーズがあって、子ども心にすごく印象的だった。
夜、親が縛られてるのを見て強盗だと思って子どもがこっそり通報したら両親のプレイで、何故か怒られて納得がいかない……のくだりは大きくなってから意味が分かった(笑)
懐かしいな。
子どもの青くささ、真っ直ぐさをふんだんに盛り込んだ良い作品だと思う。
名無しさん
子供の時に映画で見た時は何も思わなかったけど
大人になりレンタルDVDで見た時に
ラストで「今度は国会議事堂を乗っ取るぞ?!」
ってセリフがあって
正直こわっ!何?テロリストなん?
って思ってしまいましたよ
名無しさん
「ぼくら」のこども位でしょうね今の小中学生。
スマホどころかケータイすら存在しない、しかしFM放送で情報発信!ユーチューバーと大して変わらない!
名無しさん
原作の方は永遠の名作だと思う
名無しさん
主題歌はもちろんTMNetworkでヨロシク
名無しさん
今の時代なら歪んだ親を出さないと作る意味がない、どう扱うか期待。
名無しさん
僕らの七日間戦争といったらTMネットワークだね。
名無しさん
映画は知らんが、小説は読んでたなぁ~
内容全然覚えてないけど面白かったことだけは間違いない。
また読みたいな。


?X?|?“?T?[???“?N


名無しさん
理不尽や矛盾への抵抗を描いたこれにハマった子供たちが、大人になって、池井戸潤作品とかにハマっているような気がする。自分もそう。
名無しさん
映画見たし、原作も読みました
権力振りかざす大人が面白おかしくいいようにやられるのが痛快だったな
TMNのsevendayswar好きだった
名無しさん
懐かしい~!まだ読まれてるとは!
前髪オンザ眉毛が校則の学校。
名無しさん
主題歌も好きだけど挿入歌だった『GIRLFRIEND』も大好きだったなぁ。ただ私の場合、校則ってよりも母親の束縛から逃げたかったことが大きいけど。本当に髪の先まで自由になりたいと願ってた。
名無しさん
ラストは確か「気球横断失敗」だったような…
なんか色々考えさせる映画だったけど
当時の宮沢りえの可愛さで全部吹っ飛んでるわ。
名無しさん
映画より小説が面白い
全シリーズ読んでた
なってみればわかる、わかるんだよ。
帰るんだったらとっとと帰れ!僕は一人になってもここに残るっ。映画30年くらいたっても中尾のセリフは耳に残る。あと壬申の乱(笑)
名無しさん
B.Bクイーンズが歌う主題歌がコレまた名曲!
名無しさん
TMNの歌が良かったですね。
何度見直したかわからないわ。
名無しさん
ぼくらのシリーズ好きだったなぁ。
名無しさん
あの頃の学校事情だからこそ、あの作品は成り立った。
現代なら、絶対成り立たない教師と親と子供達の関係性が、見てて面白かった。
2も好きだけど、1だけで十分完結できてる作品。
……まず前提として『こういう時代があってね』って、説明しないと、今の子は分からなそうだよね。ほんと。
名無しさん
ガキだったけど映画見てて宮沢りえだけ抜きん出て可愛かったって記憶があるな。やたら飯のシーンが旨そうに見えたw
名無しさん
なんか映画観たくなってきた
名無しさん
宮沢りえ可愛かったなー
名無しさん
TMNETWORKの主題歌もよかった
#metoo
ぼくらシリーズは面白かったな。
映画に関して言えば、当初は、宮沢りえ、菊池健一郎含め、ネクストブレイク候補揃いの子役が多かった。
映画に関しては、成功。宮沢りえスター街道。
小室が音楽担当した事から、話題性込みで良かった。
肝心の子役は、宮沢りえ以外、ブレイクしなかったな。かろうじて菊池健一郎は、金八の生徒役だったし、たまに脇役で出たりするけど。
内容は、小説の方が面白かった。映画は、分かりやすく表現しようとしたり、子役が演技不足だったり、興行成功した割に微妙
アルミ缶の上に有るミカン
TMNETWORKのSEVENDAYSWARって曲が主題歌としてベストマッチして良かったですね♪
名無しさん
7日間戦争
懐かしい
全シリーズ読んだなぁ
グーニーズといい、スタンドバイミーといい
あの時代の映画も原作も、子供に突き刺さるいい内容でした
名無しさん
TMネットワークもそうだけどこの頃の宮沢りえはすごかったなぁ。まだはっきり記憶に残ってる
名無しさん
セブンデイズたたかうぞ?♪
名無しさん
健全な反抗
大人も大変なんだけどね
ネコメンタリー
原作シリーズは面白くて子供の頃よく読んでた
名無しさん
友達の影響で読み始めてハマって主人公が高校卒業するくらいまでは楽しみにしてた。
毎回ほんのちょっと進む恋だったり、大切な人の死だったりは複雑な感情で読んでた覚えがある。
思い出は思い出でいいからアニメ化とかしなくていいんだけど‥
にしても、宮沢りえさんは今も綺麗ですね。
名無しさん
今思い返すと、子供の家出に駆り出されてあげく罠にはまって五寸釘を植えたベニヤ板の上に倒れこんだ機動隊員があの映画の一番の被害者だと思う。あれは死んだんじゃないか?
近江商人
672年!
名無しさん
一作目面白かった。ワクワクしながら読み進めた記憶がある。映画はあんまり記憶ないけど。
名無しさん
映画もヒットしましたよね。
当時、子供ながらに作りが雑でつまらない映画だと思っていたけど、周りの雰囲気で良い映画だねーと言わないとならない雰囲気が嫌だった。
名無しさん
見たことも読んだこともないや
zoo
公用車でセクシーヨガに通う文科大臣。モリカケとズボズボの文科省。たかが学校の教師相手の戦争じゃ、今の時代面白くないんじゃないかな。
文科省相手の話にした方が面白くないか?
名無しさん
そこまでひどい体罰や理不尽な扱いを受けてこなかったせいか余り共感出来なかった記憶がある
だから普遍的ってのには違和感あります

 

スポンサーリンク


注目ニュース