夏を迎えて学校や幼稚園、保育園でプールが始まると、小さな子どもを中心に流行するのが「とびひ」と呼ばれる皮膚病だ。汗を乱暴に拭ったり、あせもができてしまったりして皮膚表面の表皮に傷が付き、そこから細菌が侵入して起きる感染症で、正確には「伝染性膿痂疹(のうかしん)」と名付けられている。多くは皮膚に赤い発疹が生じる程度で治るが、中には水ぶくれになった皮膚が破け、粘液が皮膚表面を覆ってじゅくじゅくとしたただれが広まってしまうこともある。特にアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアー機能が低下している子どもなどは、感染する危険性が高まるので注意が必要だ。
「『紅斑』といわれる赤い発疹から始まり、次々に水ぶくれができてはつぶれて患部が広がっていくことから『とびひ』と呼ばれています」。NTT東日本関東病院(東京都品川区)皮膚科の五十嵐敦之部長は、こう説明する。原因となるのは黄色ブドウ球菌などで、通常は医師の診察を受け1週間ほど抗菌薬を使った治療を続ければ回復するという。
重症化したら内服抗菌薬
ある程度狭い範囲に症状が限定されている場合は、抗菌剤を含んだ軟こうを患部に塗れば治ることが多い。症状の範囲が広がっている場合は、内服の抗菌薬が治療の中心になる。治療の間は、症状の程度にかかわらず、患部を清潔なガーゼなどで覆って感染源となる皮膚組織や体液などの飛散を防ぐ一方、患部を清潔に保つために毎日シャワーを浴び、ガーゼを交換することが大切だ。
五十嵐部長は「ガーゼの交換時に痛がる子どもも多いので、シャワーでガーゼをぬらしながらはがして患部を洗い、新しいガーゼに交換するのがよいだろう」とアドバイスする。
ただ、3日以上治療を続けても症状が改善されない場合は要注意だ。黄色ブドウ球菌自体は日常生活の空間にありふれた細菌だが、近年はさまざまな抗菌薬に耐性=用語説明(1)=を持つ「MRSA」と呼ばれる菌が増えており、抗菌薬が思うように効果を上げないケースもあるからだ。
「耐性菌とはいえ、すべての抗菌薬が効かない事例は少ない。診察時に患部の分泌物を採取し数日かけて培養試験にかければ、どのような細菌か確定できる。耐性菌であっても、有効な抗菌薬に切り替えれば治療できる」と五十嵐部長。症状が長引いた場合は医師に報告し、可能なら皮膚科の専門医の治療を受けるようにしてもらいたいと言う。
アトピー性皮膚炎などとの区別大事
もう一点大事なことは、アトピー性などの皮膚炎との区別や、アトピー性皮膚炎と合併している場合の治療だ。特に、患部の水疱(すいほう)がつぶれてただれている段階だと、皮膚表面には常在菌=用語説明(2)=が繁殖しているため、区別が難しくなる。五十嵐部長は「皮膚炎の場合は炎症を抑えるためのステロイド軟こうなどが治療の中心になるが、これは免疫を低下させる作用があるため感染症には逆効果になってしまう。診断を誤ると、症状を悪化させる恐れがある」と話す。
どちらの治療を優先するかは、それぞれの病気の状態などを治療に当たる医師が勘案して決める。それでも多くの場合は、皮膚炎の治療を先行させ、皮膚表面の状態を安定させると、感染症も改善することが多い、と五十嵐部長は分析している。感染広がりやすいプール
しばしば話題になるプールについては、水自体が塩素で消毒されているので、皮膚から離れた細菌が一緒に泳いでいる人に取りつくまで生きていることは難しい。
しかし、プールでは水着姿の子どもたちがじゃれ合うなどすることが多い上、タオルを一時的に貸し借りしたり同じビート板を使ったりすることもあるので、「やはり感染が広がりやすい環境にあるといえる」と五十嵐部長は指摘する。
「症状がある場合はもちろん、水ぶくれや発疹が消えてもしばらくは皮膚のバリアー機能は弱まっていることもあるので、治ってからも当分の間は、紫外線や消毒用塩素の刺激を避けるためにもプールの利用は控えた方が安全だろう」
このようなバリアー機能が低下している点では、アトピー性皮膚炎などの持病がある子どもも同じだ。五十嵐部長は「アトピーの既往がなくても、兄弟姉妹に患者がいたり、本人や兄弟姉妹に花粉症など他のアレルギー性疾患の持病があったりする場合は、特に注意が必要だ。診察を受ける際にこのような情報があれば、医師に告げてほしい」と話している。
用語説明
(1)耐性菌 抗菌薬に使われる抗生物質が効かない(感受性を持たない)特性を有する細菌を指す。特定の抗生物質に対して耐性を持つ菌から、複数の抗生物質に対して耐性を持つ菌まで存在する。治療中に耐性が認められた場合は、抗菌薬を切り替えて対処する。
(2)常在菌 健康な状態の人体に生育している細菌で、ほとんどが宿主である人体には無害だ。皮膚表面だけでなく、腸内などにも生育している。(了)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180610-00010001-jij-life
みんなのコメント
ふざけて小便するガキとかいるし
みっともないからではなくてとびひになるから、
と知らない方が意外と多い。
子供の頃聞いたなー。どんなものかよく知らなかった。アトピー性皮膚炎持ちだが、多分とびひはなったこと無い。
最近は除菌や滅菌、空気の浄化が過剰すぎて、
基本的な免疫力を低下させていると思います。
自分では大して気にしてなかったけど母さん大変だったろうな
アトピーの子がプール入れないようにされるとか差別にならないといいな
正しい理解が広まってほしい
注意したら睨みつけられたけど。
子供は鼻を弄る癖がある為辞めさせたところそれ以降トビヒになってない。
目が届く範囲で注意すれば防げると思う。
お子さんとその保護者さん、
ならびに保育園・幼稚園・学校の先生方へ
皮膚の学校感染症について
プールに入ってもいいの?
1)伝染性膿痂疹(とびひ)
かきむしったところの滲出液、水疱内容などで次々にうつります。プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止して下さい。
2)伝染性軟属腫(みずいぼ)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
平成25年5月
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会
もちろん温泉も
自粛しろよな
移らない人は移らないけど、基本は移ります。
私も子供の頃にとびひが悲惨な状態になり、直径10センチ位の円状に大きくなり、熟した状態になった事があります。
ウチの親みたいに、子供に関心ない親は気付かない、気付こうともしませんからね。
専業主婦だったのに何やってるんだか。
気付いた時には酷い状態になってました。
親は子供の皮膚状態とかしっかり見てあげないと、プールなんかは特に移りやすいです。
とびひになったら大変と皮膚科に連れて行き、軟膏と患部を触らないようにと患部に貼るシートを貰いました。
大人でも痒い時は掻きたくなるし、小さい子供に痒くても掻きむしらないようにと言っても難しいよね。
とびひになったら大変と皮膚科に連れて行き、軟膏と患部を触らないようにと患部に貼るシートを貰いました。
大人でも痒い時は掻きたくなるし、小さい子供に痒くても掻きむしらないようにと言っても難しいよね。
日本の会社は…感染症に優しくない。
この時期は夏の感染症、冬はインフルエンザ…
しっかり休める社会にしないと感染症はこわいよ。
手垢どころかしり穴もちんkも着いてるじゃん?汗も垂れ流し放題だしおにぎりより相当ヤバイと思うけど。
あちこち掻いちゃうからミイラみたいに包帯だらけだった。。。
あっという間に広がる!
痒がったと思ったら痛がったりと大変でした。
写真の様に全身出ました。男の子はたまたまにも出ました。今年はかからない様願います。
うちの子はとびひより水イボをもらってくる。
私自身、とびひになった事ないから、なりやすい人となり難い人居ると思う。
アトピーの人はなりやすいから、気を付けないといけないんだと思う。
子の同級生でも、年中足にとびひのある子とかいたし。
プールにいい思い出がない。
だからかゆい時は手の平で叩くようにさせる。皮膚に傷さえなければプールでも移らない。
幸い汁まで出るような酷さではなく、ギリギリとびひかどうかの寸手でした。
子供はすぐなりますね。うつさないよう、うつされないよう気をつけたいです
どうやらとびひが悪化して何とかという病名でした。(なんちゃら火傷?)
しっかり下2人の弟にも移り、私にまで移りました。
かれこれ20年近く前の話です。