暑いから仕事を早めに切り上げて、飲みにいこう――。上司が若手社員を飲み会に誘い、日頃の苦労をねぎらうつもりでも、実は若手社員は「飲み会も業務」と考えている可能性がある。若者の中には「職場の飲み会」を「残業」と捉える人も出てきていて、裁判で「飲み会は業務」と認定されたケースもある。それはどんな場合なのか、労働問題に詳しい山口政貴弁護士に解説してもらう。
◆勤務時間外は上司と付き合わない
「職場の同僚、上司らとは勤務時間以外では付き合いたくない」。今年6月、公益財団法人「日本生産性本部」が発表した新入社員の意識調査では、30.8%の人がこのように答えています。
昨年度から10.1ポイント増え、過去最高となりました。同本部では、「若者がプライベートを大切にする傾向が続いている」と分析しています。
若者たちの間で、仕事とプライベートを明確に線引きする傾向が強まっているのなら、上司の方も意識を変える必要があると思います。
「上司部下の関係はあくまでも勤務時間中だけ。勤務時間外は完全な他人」というスタンスで考えておいた方が良いのではないでしょうか。
◆飲み会は業務か?
「飲みニケーション」などの言葉があるように、会社などの組織では上司が部下を飲みに誘うことはよくあります。
これまで、そうした酒席は「業務外」の私的な会合と考えるのが一般的でしたが、近年は状況が変わっています。
飲み会でトラブルが起きた際に、「飲み会も仕事の一環であった」かどうかを争う裁判も起きています。
今年4月には職場の飲み会を「仕事の一環」と認定する判決が東京地裁で出ました。
このケースは、居酒屋で正社員として働いていた男性が、休みの日に上司から忘年会に誘われたため出席し、その場で同僚から暴行されました。
男性は「業務中」であったとして会社側に損害賠償を求めました。東京地裁は従業員全員が参加していたことなどを踏まえ、「仕事の一環」と認定し、会社側の使用者責任を認めて賠償を命じました。
飲み会が「業務」であるかを争点にした裁判はそれ以前にも起こされており、どんな状況でも職場の飲み会が「仕事」とされるわけではありませんが、一定の条件を満たせば、その可能性はあります。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180806-00010000-yomonline-life
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