大学の授業料は国公立・私立ともに30年間で約2倍に上昇、さらに子ども世代の「労働(賃金)格差」が大きくなり、奨学金の滞納を余儀なくされるケースも目立つ。一方、親たちが子どもに負担をかけたくないと、高額な教育ローンを組むケースが目立つようになった。
しかし、空前の低金利が続いているとはいえ、ローンにはリスクが付き物で、最悪の場合、「老後破産(退職後の自己破産)」につながりかねない。利用する際の注意点などについて、ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子さんが解説する。
教育ローンで多重債務、老後破産も?
「銀行で教育ローンを組んだ当時は、我が子のためになんとか学費を工面しようと必死でした」東京都内に住むAさん(59)には、社会人になったばかりの長女と、来年大学を卒業する長男がいます。Aさんは現在も有名企業に勤めており、一見、お金には余裕があって、生活も安定しているように見えます。
そんなAさんがなぜ銀行の教育ローンに頼らざるを得なくなったのでしょうか。
実はAさん自身、大学の進学を希望したにもかかわらず、実家の生計を支えるために進学を断念し、泣く泣く就職したといいます。
「自分が(進学の希望を)叶(かな)えられなかった分、子どもにはどうしても良い教育を受けさせたかったですし、学費(の支払い)で苦労もかけたくなかったんです」
それなりの収入があったAさんなら、ローンに頼らなくても子どもたちを進学させることは可能だったはずです。
しかし、晩婚だったため、収入はそれなりにある一方で、独身時代の生活レベルをなかなか落とすことができず、教育費以外の支出を減らせなかったのです。子どもを学習塾や複数の習い事に通わせる一方、都内に住宅ローンで一戸建てを購入したり、車を頻繁に買い替えたり……そのため、貯蓄はほとんどできなかったそうです。
本来は支出の優先順位を決め、教育費を優先させると決めたら、他の支出はなるべく抑えるようにすべきでした。しかし、Aさんは「上の子が高校に入学した頃から家計が回らなくなり、教育ローンに頼るようになった」といい、複数の銀行から教育ローンで借り入れたそうです。
「(2人分の)予備校や受験の費用などをその都度、銀行から借り入れていたら、気づくと(教育ローンの返済残高の)総額は1000万円近くに膨らんでいました」
Aさんは今年、会社を定年退職する予定といいます。延長雇用される予定はあるそうですが、いったん会社から支給される退職金で、教育ローンと残っている住宅ローンを一括で返済しようと考えています。
「ローンの返済をしたら退職金はほとんど残りませんし、預貯金もありません。延長雇用されますが、給料は大幅にダウンします。老後資金をつくるにはどうしたらいいのでしょうか」。
Aさんは、できるだけ長く働き続けたり、上手に家計をやりくりしたりしないと、「老後破産」に陥る可能性も否定できない状況にあるといえます。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180923-00010000-yomonline-bus_all
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