日本の労働生産性が低いと言われるが、日本企業が良いものを安く売っていることが国際比較の際に反映されていないからだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は主張します。
労働生産性は名目GDPで国際比較される
労働生産性は、労働者一人が1時間でシャツを何枚作れるか、パンを何個焼けるか、ということを示すものです。しかし、これを国際比較する際には、名目GDPを労働者数等で割って比較する場合が少なくありません。
パンを食べる国とご飯を食べる国、魚を食べる国と肉を食べる国の労働生産性を比べようとすると、名目GDPで比べることが合理的だからです。
労働者数で割るか労働日数で割るか労働時間で割るか、という問題はあり、労働時間で割るのが正しいのですが、手間がかかるので、そこは比較者が選ぶことになります。
名目GDPで比べることの問題は、「良いものを安く売ると名目GDPが小さくなり、労働生産性が低いように見えてしまう」ということです。
良いものを安く売ると名目GDPが小さくなる
米国の理髪は心を込めずに乱暴にサービスして40ドルだとします。一方で日本の理髪は心を込めて丁寧にサービスしているため、米国人が「日本の理髪は丁寧だから80ドル払っても頼みたい」と思っているとします。
どちらもサービスに1時間を要しているとすれば、労働生産性は日本の方が2倍として計算されるべきです。
しかし、日本の理髪が2000円で、為替レートが1ドル100円だとすると、日本の1時間あたりGDPは米国の半分だと計算されてしまうことになります。良いサービスを安く提供しているがゆえに労働生産性が低いと計算されてしまうわけです。
海外で生活した経験のある読者であれば、日本のサービスが素晴らしいということは納得していただけるはずです。理髪が丁寧なだけではありません。
釣り銭が正しく返ってくる、概ね時間通りに電車が来る、宅配便の時間指定ができる、深夜でもファミレスやコンビニが営業している、といったことを考えただけでも、日本に住んでいて良かった、と筆者は思うのです。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180923-00007630-toushin-bus_all
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