高層階からの美しい眺望に、充実した共用施設やセキュリティー。そして駅から近い利便性などから人気が続くタワーマンション(タワマン)。しかし、建設ラッシュが続いた結果、狭い地域に人口が集中し、公共施設などの整備が追い付かないなどの問題が浮上。
都心部ではタワマン新築の「規制」に乗り出す自治体が出てきた。タワマンが生んだ社会のひずみ、タワマンが抱える特有の問題について、不動産コンサルタントの長嶋修氏に解説してもらった。
タワマンの歴史はまだ20年
タワマンが現在のように数多く建設されるようになったきっかけは、1997年の規制緩和です。この時、建築基準法が改正され、廊下や階段などの共用部分が容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)の計算から除外されたほか、容積率600%、日影規制(高層建築物によって日陰ができることを防止するための規制)適用除外など、高層住居誘導地区制度が設けられました。
これを受け、三井不動産や住友不動産、三菱地所に代表される大手デベロッパー(不動産開発会社)が東京都心や湾岸地域などでタワマン建設などの都市の再開発を加速させ、住戸の大量供給につながりました。
それ以来、「タワマン建設ラッシュ」は現在まで続いています。かつて倉庫や工場などが立ち並んでいた湾岸地区など「準工業地帯」の様相が一変したほか、利便性のいい大都市や近郊の駅周辺にとどまらず、比較的、土地に余裕があるはずの地方都市にまで建設されるようになったのです。
まだ残る「巨大計画」
タワマンに明確な定義はありませんが、一般的に20階以上のマンションを指すとされています。マンションの階高(1階分の高さ)は約3メートルなので、つまり高さでいえば60メートル以上のマンションです。
不動産経済研究所によると、2018年以降に建設予定のタワマンの住戸数(※棟数ではありません)は全国で10万8757戸。その内訳をみると、首都圏は8万303戸と全体の73.8%に上り、東京23区内が5万5570戸と全体の51.1%を占めます。いかにタワマンが、土地のひっ迫している地域に集中するかがわかります。
その中には、東京メトロ西新宿駅(新宿区)周辺では65階建てのタワマン2棟で計3200戸、都営地下鉄勝どき駅(中央区)周辺では58階建て、45階建て、29階建ての3棟で計3255戸など、大規模な計画が残っています。
また、デベロッパーの森ビル(東京)は虎ノ門・麻布台地区(港区)では65階建て(下層階はオフィスになる予定)、64階建て、53階建てのタワマン3棟の建設を計画していますが、このうち65階建てはなんと高さ330メートル。オフィスが入る分、住戸数は少なくなるとはいえ、完成時点で「日本一高いタワマン」になる予定です。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180804-00010000-yomonline-bus_all
みんなのコメント