日産自動車は26日、燃費・排ガスの検査データ改ざん問題を巡り、外部の弁護士らがまとめた最終の調査報告書を国土交通省に提出した。検査員増員などの再発防止策を示し、不正の幕引きを図った。しかし、その後に開かれた記者会見には西川広人社長ら日産トップが出席しないなど信頼回復に向けた姿勢には疑問符が付いたままだ。【松本尚也、藤渕志保】
「コンプライアンス(法令順守)の強化は終わりのない仕事。できる限り将来に禍根のない仕事をすることが私の使命だ」。西川社長は記者会見に先立つ26日正午、国交省に報告書を提出後、記者団にそう説明した。
報告書では、不正の原因について、完成検査軽視の風潮▽日産のコンプライアンス体制の不十分さ--など企業体質を問題視。
さらに「不適切な検査を行った検査員の多くは『(国の)保安基準に抵触しない』として自らの行為を正当化し、測定値の書き換えなどに及んでいた」など従業員の責任感やモラルの欠如が社内に広がっていた実態なども指摘した。
日産は再発防止策として、検査員の増員や設備増強などを発表。それに伴い、今後6年間で約1800億円の投資を行うほか、今年度だけで670人程度の増員を実施する。
ただ、度重なる不正で失墜した信頼の回復や再発防止策の実効性は不透明だ。日産はこれまでも不正が発覚するたびに再発防止策を策定してきたが、別の不正発覚が繰り返されてきた経緯がある。
国交省への報告書提出から3時間後、本社のある横浜市で開かれた記者会見に西川社長やカルロス・ゴーン会長の姿はなかった。
7月の不正の発表に続いて会見に出た山内康裕執行役員は「(不正への)対策責任者は私ということで、私が説明している」と弁明。取締役会に適宜報告していることやゴーン会長から指示を受けていることを強調した。
ただ西川社長らトップには不祥事に対する説明責任のあり方も含めて経営責任が問われている。早稲田大の大聖泰弘名誉教授(自動車工学)は
「日産では上層部から現場まで首尾一貫した連携が取れていないのが問題。再発防止にあたっては、職場環境や現場従業員に目配りできるコミュニケーションが必要だ」と指摘した。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180926-00000100-mai-bus_all
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