将棋界は八つのタイトルを8人で分け合う群雄割拠の時代を迎えた。若手とベテランが入り乱れ、戦国時代に突入したと言えるが、実は同じ状況は1987年にもあった。
当時の七大タイトルを7人で分け合ったのだ。2018年、目下の関心は、「天下統一」をするような覇者が現れるのか。現れるとすれば、それは誰かということだ。将棋ライターの小島渉さんに戦国将棋界の行方を占ってもらった。
タイトル保持者が8人、群雄割拠の時代に
「負けました」。はっきりした声で投了を告げた羽生善治棋聖は、深々と頭を下げた。この瞬間、将棋界は31年ぶりの戦国時代に突入した。7月17日、羽生棋聖に豊島将之八段が挑戦する第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第5局が指され、豊島八段が羽生棋聖に勝ち、シリーズを3勝2敗で制して棋聖を奪取した。
豊島は5回目のタイトル挑戦にして、悲願の初タイトルを獲得。羽生のタイトルは竜王のみに後退し、タイトル獲得通算100期の大記録は持ち越しとなった。
何が31年ぶりか。それはタイトルを一つずつ分け合う、群雄割拠の状況になったことである。現在、将棋界にタイトルは八つある。それを羽生竜王(47)、
佐藤天彦名人(30)、高見泰地叡王(25)、菅井竜也王位(26)、中村太地王座(30)、渡辺明棋王(34)、久保利明王将(42)、豊島棋聖(28)で分け合っている。これは、七大タイトルの在位者が7人だった1987年以来の極めて異例な状態なのだ。
平成に入り、将棋界を席巻したのは1970年生まれの羽生を中心とする「羽生世代」だった。89年(平成元年)度から2017年度までのタイトル戦は合計210回あり、
羽生世代が登場したタイトル戦は173回と8割を超える。そのうち羽生が挑戦者、あるいはタイトル保持者としてかかわったタイトル戦は133回、獲得は99期と圧倒的な実績を誇る。
1989年に初めてのタイトルの竜王を獲得、96年に七冠独占、そして2017年に竜王に復位し、永世称号(タイトルを一定数獲得すると引退後に名乗る資格が与えられるもので、各タイトルによって条件は異なる)のあるタイトルすべてで資格を得る「永世七冠」を達成した。羽生は20歳の時から常にタイトルを保持し、トッププロとして走り続けてきた。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180812-00010000-yomonline-cul
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