中国メディアから多くの人材が流出している。当局による情報統制が厳しさを増しており、目を付けられることを恐れたメディア側が自主規制を進めていることへの不満が背景にある。海外への人材流出も相次いでおり、日本に活路を見いだそうとする記者もいる。
「暗黙のルールとして自己検閲が行われていた」。中国メディアで記者経験のある20代の中国人男性は、社内で行われていた自主規制の状況を証言した。
編集会議の度に、編集長が特定の話題に触れないよう記者に言い聞かせていたという。政府の経済政策について論評しようにも、批判だけでなく必ず賛成意見も載せるよう社内から求められた。男性はその不自由さに悩み、新天地を求めて日本に拠点を移した。
上海出身で作家活動をしていた20代の中国人女性も自分が書きたいテーマと自主規制の間で揺れ、より広い世界を見ようと日本に渡った。
この女性は当時、マルクスの社会主義思想について文章中で言及したが、敏感な話題だとして出版社から書かないよう注意を受けた。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表した2018年の報道自由度ランキングで、中国における報道の自由度は180カ国・地域の中で、後ろから数えて5番目の176位だった。
自主規制に走るメディアが相次ぐ一方で、権力にあらがう中国人記者も少なくない。チベット問題を取り上げドイツに亡命した長平氏は、中国に残した家族が拘束されながらも情報発信を続けている。
また、今年1月に夕刊紙「法制晩報」の社長が中国共産党を強く支持する人物に交代すると、半年ほどで同紙の記者40人以上が退職し抗議の意を示した。
東京大の阿古智子准教授(現代中国研究)は中国メディアについて「当局の圧力による報道の萎縮や広告主の減少が顕著で、読者も購読をやめている」と述べ、そうした環境下で優秀な記者が社を離れ、良質の記事がさらに少なくなる悪循環に陥っていると分析する。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180923-00000559-san-cn
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