災害級の猛暑で、熱中症で亡くなる高齢者が増えている。学校でも熱中症事故が多発。教室や体育館にクーラーをつけるべきだという声が高まっている。
しかし、その一方で、「昔はクーラーがなくても我慢できた。クーラーは甘えだ」と反発する中高年の声もちらほら聞こえてくる。
救急搬送される高齢者は、クーラーを使っていないケースが少なくないという。そういう考え方が、危険を呼び込むのだが、なぜそうなるのか。
「大人力検定」などで知られるコラムニストの石原壮一郎氏が言う。
「何かというと、『昔はこうだったから、今も耐えるべき』『今の若い者は甘えている』と言ってしまうのは、おっさんの悲しい性(さが)。
ですが、なぜそう言いたくなるかというと、人間には“つらかったことや、都合の悪いことは忘れる”という能力が備わっているからです。
これは強く生き抜くために必要な能力ですが、美化された過去と今とを比べることはナンセンスでしょう」
たとえば、体育会でシゴかれた経験のある人なら、当時は理不尽さを感じ、反発心を抱いたこともあるはず。
しかし、喉元過ぎれば何とやらで、卒業すると、「理不尽に耐えた自分」を美化していく。それで、次の世代に理不尽を押し付けるようになっていくのだ。
セクハラ問題にしても、「昔はこんなにうるさくなかった」と言う男性もいるが、昔からセクハラを受けていた女性たちが喜んで受容していたかといえば、そうではない。その点に目を向けず、「近頃はうるさい」と言うのはいかがなものか。
「昔はこうだったと思ってしまうのは仕方ないことですが、それを引き合いに若者を批判するのは卑怯。
それを口にすることで過去の自分を肯定し、『自分は偉い』『自分はデキる人間だ』と示したいだけです。しかも、圧倒的な経験の差があれば、若者は反論できず、『そうですか』と返すしかありませんから」
そう言われた若者や周りの人から、「現代社会をわかっていない時代遅れの人」と思われかねないだろう。
「それでも言いたいのなら、『参考までに、昔はこういう理由で、こうしていたんだけど』とアドバイスする形がいいでしょう。昔の慣習や観念を話すときは、その理由もセットで伝えるのです」
過去を美化しないことだ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180805-00000016-nkgendai-life
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