西日本を中心とした記録的な豪雨で、河川の氾濫や土砂崩れが発生して、大きな被害がでている。ツイッター上でも、自家用車が車に浸ったり、土砂崩れにあったりするといった報告が相次いでいる。
神戸市在住とみられるユーザーは7月7日、会社の裏で土砂崩れが起きて、停めてあった愛車が「ご臨終しました」と投稿している。
普段は電車通勤で、この日は公共交通機関が止まっていたが、「どうしても会社の研修のため出勤しろ」と言われて、やむなく愛車で出社したところ、こんな悲劇が起きてしまったようだ。
このユーザーは「会社からは何も補償されない」と不満を口にしている。たしかに会社側は「土砂崩れ」の発生までは想定していなかったかもしれないが、豪雨にもかかわらず、出社を要求しているといえる。会社側に弁償してもらえないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●損害賠償請求できる可能性あり
「私も神戸に住んでいるのですが、ひどい雨でした。近所でも、がけ崩れが発生して大変でした。まだまだ災害の爪痕は残っています。1日も早い復興が望まれます。
今回のケースについて、結論からいえば、被害者は、会社に対して損害賠償請求ができる余地があります。
たしかに、大雨という『天災』については、会社に責任はありません。しかし、会社の業務命令により自動車で通勤したこと、現実に土砂崩れが発生するということは、会社が崖の近くにあり、崖崩れの可能性を予見できる余地があったといえる可能性があります。
会社としては、従業員の財産を守ることも必要です。したがって、雇用契約の付随義務違反を理由として、自動車代金相当額の損害賠償請求ができると考えます」
●台風やゲリラ豪雨による水没・土砂崩れの場合、保険適用あり
保険会社の多くでは、台風やゲリラ豪雨などで、車が水没したり、土砂崩れで押しつぶされたりして、車が損害を受けた場合も、車両保険の補償を受けられることになっている。また、西口弁護士によると、会社が保険に入っている場合、保険対応できるという。
「会社側としては、従業員に対し誠実に対応していただきたいと思います。
いずれにしても、復旧・復興がすすむことを心より祈念すると同時に、不幸にも亡くなられた方のお悔やみを申し上げます」
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/弁護士ドットコムニュース編集部
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180710-00008174-bengocom-life
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