大きく3つある窓の役割
列車の窓を開けたことがないという人も、今では珍しくないのではないでしょうか。鉄道車両の冷房化は概ね80年代から90年代にかけて完了します。それまでは夏は窓を開けて車内に風を通していました。冷房車であっても、冷房を使用するのは夏だけで、それ以外の季節は窓を開けることも珍しくありませんでした。
現在では、わざわざ窓を開ける人は見かけませんし、そもそも開かない窓も増えています。列車の窓の役割は、どのように変化してきたのでしょうか。
建築物の窓には、大きく分けて眺望、採光、通風の3つの役割があります。鉄道車両の窓の役割も基本的には同様です。
眺望
眺望つまり外の景色を眺める機能は、移動を前提とした鉄道車両においては特に重要です。それは車窓の景色を楽しむことだけではありません。案内装置が普及する以前の鉄道においては、窓から入ってくる情報が現在地を把握するための唯一の手段でした。
たとえば、1927(昭和2)年に登場した日本初の地下鉄車両は、トンネル内を走るため景色が見えないからこそ、どこの駅に到着したのか分かりやすいように大きな窓を備えていました。
車内放送や車内ディスプレイなど様々な案内装置が普及した今でも、まずは窓の外の景色から現在地を判断するという人は少なくないはずです。
採光
安価で取り扱いが簡易な照明装置が普及するまでは、明かりを確保する最も簡単な手段は太陽光を取り入れることでした。
側窓だけでは車内の隅々に光が届かないので、初期の鉄道車両は屋根の上に段差を設けて二重の屋根とするダブルルーフ構造を採用し、段差に窓を設けて採光していました。
夜間用の車内照明としては鉄道開業当初から石油ランプが設置されており、後に白熱灯が普及しますが、昼間と同等の明るさを実現するためのものではありませんでした。車内照明を常時点灯させる必要が生じるのは、鉄道が長区間の地下トンネルを走るようになってからのことです。
現在も一部の鉄道事業者が日中の室内灯を消灯しているように、今も採光は窓の重要な役割のひとつであり続けています。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180831-00010006-norimono-bus_all
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