就職活動で「学歴不問」や「人物本位」をうたう企業は多い。一方で、会社説明会の申し込みなどで、いわゆる下位校をふるいにかける「学歴フィルター」なるものがあるともささやかれる。「学歴フィルター」にとらわれず、後悔しない就活を進めるにはどうすればいいのか。採用コンサルタントの谷出正直氏がアドバイスする。◆「学歴フィルター」とは?
就職活動において、まことしやかにささやかれる「学歴フィルター」。
企業側が、学生の在籍している大学名によって、会社説明会の予約受け付けを制限したり、面接以前のエントリーシートや適性テストの選考過程で合否を決めたりしているのではないかということです。
つまり、人物を評価する以前に、大学名(学歴)でふるいわけ(フィルター)が行われているという意味で使われる言葉です。
主に、学生に人気のある企業や知名度の高い有名企業、東証一部上場の大手企業など、数千人規模の応募がある企業に、「学歴フィルター」があるとされています。それは、偏差値や入試の難易度などを基準に大学をランク分けし、このランク分けをもとに応募者をふるいにかけるやり方だと言われています。
◆大学名を不合格の理由にしている
就活生を中心に、SNSではこんな話も拡散されています。
就職サイトから、会社説明会の申し込みをしようとした就活生(東洋大学)が、受け付けされなかった(「満席」の表示)のに、サイトに登録した大学名の情報を「東京大学」に変えたら受け付けてもらえたというのです。
真偽は不明です。仮に事実であっても、これをもって、この企業が「学歴フィルター」を設けているとするには、ちょっと無理があります。というのも、選考プロセスや採用基準は企業によって異なります。出身大学が偏り過ぎないように、と考える会社もあるかもしれません。
複数の人事担当者に聞いてみても、はっきりと「学歴フィルター」の存在を認める企業はありません。むしろ、こんな指摘をしていました。
「学生が不合格の理由を大学名のせいにしている」
「就活生が大手企業に応募するのをためらい、『学歴フィルター』を言い訳にする」
◆学歴フィルターは入試難易度
「学歴フィルター」の基準とされるランク分けについては、企業によって異なるものの、おおむね以下のような大学群で分けられているとの情報があります。【Aランク】旧帝大(東京、京都、東北、九州、北海道、大阪、名古屋)、一橋、東京工業、早稲田、慶応
【Bランク】有力国公立(筑波、横浜国立、神戸など)、上智、国際基督教、東京理科
【Cランク】その他国公立、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)など
【Dランク】日東駒専(日本、東洋、駒澤、専修)、産近甲龍(京都産業、近畿、甲南、龍谷)など
【Eランク】大東亜帝国(大東文化、亜細亜、帝京、国士舘)など
【Fランク】その他、新設大学など
こうして見てみると、いわゆる大学入試の難易度(偏差値)とほとんど変わりありません。
「学歴フィルター」によるふるいわけが行われているとされる背景には、いわゆる偏差値の高い大学の学生は、傾向として事務処理や業務遂行といった能力(地頭(じあたま)や要領が良いなど)が高く、目標を達成する力があると言われることがあります。
もちろん、実際の仕事の能力や人柄は大学受験の偏差値では測りきれません。
◆大学名を見ないと逆に偏る傾向も
ある企業で、大学名を明かさずに採用を行った過去の実績を見てみると、結果的に偏差値の高い大学の学生が中心になってしまったということがありました。学校名を見なかったことで、かえって【Aランク】【Bランク】の大学出身者ばかりに偏ってしまったというのです。
企業が、限られた予算、時間、人員の中で効率的に採用活動を行おうとすると、採用する可能性の高い大学名で絞った学生を中心に説明会や選考をすることが考えられます。企業側にすれば、学生をふるいにかけているというよりは、採用したい学生を「GMARCH以上」などと定めており、いくつかの大学に狙いを定める「ターゲット校」としているケースがあるのかもしれません。
すべての学生を説明会に参加させることや選考に呼ぶことは現実的に不可能です。
そこで、説明会の予約受け付け、エントリーシートや適性テストで絞り込むということが行われているだろうと想像できます。このとき、一部の下位校を門前払いするような「学歴フィルター」という話が出てきます。
◆「学歴フィルター」を打ち破る方法
では、学生が「学歴フィルター」を打ち破るためにできることはないのでしょうか?過去に就活生が行った実体験を紹介します。ポイントは「自分ができることに焦点を当てること」です。
企業の動きは、学生自身がコントロールすることはできません。できないことをとやかく言っても始まらないので、自分ができることに絞って、思考して、行動してみてください。
【1】予約できなくてもあきらめない
とても興味のあった企業の説明会。予約できなかったが、時間と場所がわかっていたので当日直接行きました。受付で「どうしても参加したかったのですが、満席で予約できませんでした。会場の後ろの方で良いので立ち見させてもらえませんか?」と伝えたところ、空いている席を案内してくれた。(東洋大学・男性)
【2】志望企業の社員に会う
大学やサークル、バイト先、家族、友人など様々な知り合いを通じて、志望企業の社員を紹介してもらい、個別に話を聞かせてもらった。さらに、その社員から別の方を紹介してもらい、その企業の採用担当者までつながることができた。特別開催の説明会の案内をしてもらえた。(日本大学・女性)
【3】大学内の説明会に参加する
大学内で開かれた就職説明会に参加した。志望企業の担当者と個別に話をして、仕事内容などの説明を受けた。応募意欲を伝えると、選考案内を友人よりも先にもらえた。(都内私立大学・女性)
【4】キャリアセンターを活用
キャリアセンターの職員に相談をしたところ、その企業を訪問するときに同席させてもらえた。(都内私立大学・男性)
【5】インターンシップの経験をアピール
先輩から「学歴フィルター」の話を聞いていた。大学名に関係なく、企業から関心を持ってもらえるようになろうと考え、ベンチャー企業のインターンシップに参加した。エントリーシートで、ほかの人があまりしない経験を前面に打ち出し、個性をPRした。(地方国立大学・男性)
たとえ、「学歴フィルター」と言われるものがあるとしても、このように工夫と努力によって打ち破ることは不可能ではありません。ただ、「学歴フィルター」を突破して、選考のスタートラインに立つことも大切ですが、実は就活にはもっと大事なことがあります。
「入社してから何をしたいか」
「どんな大人になりたいのか」
「どんな生き方をしたいのか」
これらを常に念頭に置いて行動することです。たとえ、採用担当者に出会えたからといって、選考そのものが有利になるとは限りません。就職活動を通じて出会う人や情報から、常に自分について考えてほしいと思います。
理不尽な扱いを受けることもあるかもしれません。思い通りにいかず迷うかもしれません。しかし、就活で悩み苦しんだことは、納得のいく社会人としての第一歩になるに違いありません。
◆「学歴フィルター」に変化あり!?
多くの企業の採用担当者の話を聞いていると、最近、「学歴フィルター」で大学名によるふるいわけをしない企業が増えているように感じています。
新卒者の採用状況を巡っては、ここ数年、学生側が有利な「売り手市場」が続いています。一部の超大手、人気企業を除いて、多くの企業で応募数が減っている実情があります。
企業の採用担当者に話を聞くと、採用活動が終わって、「満足のいく採用ができた」「いい人材が集まった」という企業は必ずしも多くありません。会社説明会の参加や選考希望者も減少しています。そのため、大学名で応募者を絞っていると、企業は求める人材に出会えないかもしれないという懸念を持っているのです。
同じ大学出身者ばかりを採用すると、志向や考え方の似通った社員が増えてきます。これまでは、決められたことを、的確に行うことで生産性が高まるとされていたため、過去の採用実績に照らし合わせ、同じように採用することを良しとする企業もありました。
◆企業が求める人材とは?
しかし、多くの企業が新しい物の見方やイノベーションを発揮する社員を求めています。社員の多様性という視点からも、大学名にこだわらない採用が求められるようになってきました。
背景には、大学入試の多様化があります。少子化に伴い、学生確保に必死な各大学が、様々な入学ルートを用意しています。
付属校などからの内部進学、指定校推薦、アドミッションズ・オフィス(AO)、複数学科の同時併願など、いわゆる一般入試で入学するケースが主流ではなくなりつつあります。
同じ大学でも学生の質は二極化、あるいは多極化しており、大学名が学生の能力を見る目安ではなくなってきています。
むしろ、学生でもインターネットなどのツールをうまく活用し、自らのアイデアを形にしたり、可能性を試したりすることができます。大学名よりも、学業や研究活動、ボランティアや社会貢献を見ることで、その人の志向、能力、意欲を把握する一端になるはずです。
◆「学歴フィルター」の解釈
志望する企業への入社の方法としては、新卒で入るだけでなく、社会人として実績を作り、転職するという手もあります。業績を評価されれば、別の企業から誘われるというケースもあります。
もちろん、社会人として活躍している頃には、仕事や働き方などの考えがすっかり変わっていて、転職したくないと考えるようになっているかもしれません。
こんな見方もできます。「学歴フィルター」があるとされる企業は、学歴を重視する企業文化や学閥が根強く残っている可能性があります。
「△△大学の卒業生だから出世しやすい」「社内に〇〇大学出身者だけの集まりがある」といったように、入社後も大学名が常につきまとうことになります。
そんな、自分の意思ではどうにもならない中で、ずっと働くことがプラスになるでしょうか?
そういったことが嫌であれば、「学歴フィルター」でふるいにかけられていたとしても、その会社を受けないで良かったと思えるはずです。
就職活動で「学歴フィルター」を意識するようなことがあったとしても、それを打ち破ろうという気概も大事です。と同時に、「学歴フィルター」を言い訳にせず、自らの働く意義、生きる目的を考えて、社会人として活躍する道を切り開くことを考えてほしいと思います。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180428-00010000-yomonline-life
みんなのコメント
出身高校を聞いて判断する企業もあるらしい
下位になると読み書き、算数という小中レベルの学力さえおぼつかないのだから差がつくのは仕方が無い。なぜ頭脳職を希望し同レベルの扱いを求めようとするのかの方が理解できない。
氷河期の実際のテレビのドキュメントは耳にしたことの無い大学だった。おそらくDの上位までは氷河期でも大丈夫だったのでは?DやEでも真面目な学風の所はあるよね。上位と同じ扱いは無理でも努力次第で買ってくれる企業はあるはず。売り込みの努力だけじゃなくて中身向上の努力ももちろん大事。真面目に中小で活躍すればよい。
例えばFラン大学出身者のみの銀行と一流大学出身者のみの銀行だと、どちらが利益を出せるか考えて見るといいと思います。フィルターはあるのは当たり前です。
どちらを取りたいか明白ですね
受験勉強も頑張れないのに
仕事は頑張れるなんて期待できないでしょ
勉強の出来不出来じゃなくて
計画性と努力できるかどうかを図る手段として学歴は優秀な指標
難しい事は何もわからないけど、セックスはとても上手さ。
セックスに飽きたら出家しようかな(*^_^*)
でも、何も実績のない大学生、特に文系なら高学歴に偏るのは当たり前だと思うけど。
就職だけが大学の目的ではないけれど。
新卒での就活に人生を賭けるかのような一喜一憂する時代は終わり。
人生はどう転ぶかわからないので
現実を受け入れ卑下せず自分のベストを尽くしてベストベターな選択を繰り返せばよい。学歴フィルターなんて今に始まったものではなく私が就活をした30年近く前にもありましたよ。企業訪問すれば
同じレベルの大学の学生ばかりでした。
また入社1年目でリクルターをしましたがリクルーターはそもそも私の入社した企業では関西では関関同立産近甲龍だけでした。
学歴が全てでは勿論ありませんが、Fランクの大学に行くこと自体、「あまり努力をしませんでした」ということを証明しているようなもの。
Cランクだろうな。
じゅぱひとからげ。法政と同レベル
アルファベットの大学はダメ
東大法のみ=かつての中央官庁
東京一工=超一流企業
早慶に旧帝大、上理=一流企業
GMARCH=普通の大手企業
1 資本金 2 売上高 3 営業利益 4 などなど
A トヨタ JR東海
B
C
D
E
F 東芝 なんちゃって
例えば明治大学と鳥取大学は同じだと言う人がいますか?
 ̄
旧帝+一工神+早慶+JMARCH+関関同立クラス迄が採用基準となっています。
一人採用するには数百万の経費が掛かり企業としても無駄な経費を使いたくありません。それには、大学としての実績(国家公務員総合職試験結果、司法試験結果、公認会計士試験結果等)を考慮します。これ以下の大学は現業職でも構わなければ採用しますが事務・技術職に採用されるには厳しい社内試験があります。これが現実です。
就職氷河期を乗り越えた経験、私自身が後に面接官を担当した経験からも、学歴フィルターはありました。
そもそも、苦しい受験勉強を頑張り、ハイレベルな授業が行われている大学を卒業した学生と、Fランク大学の卒業生を同列に扱う道理がありません。
私は学歴はゲームに例えるなら、装備品だと思います。仮に一緒に戦う仲間を探すとして、木の棒を装備した人と、伝説の剣を装備した人が並べば、伝説の剣を装備した人の方が良いと思うのは当たり前の話です。
もちろん、装備品は良くても下手な人もいるでしょう。学歴は良くても仕事はダメな人も見てきました。けれど、新卒として選ばれる段階では木の棒では伝説の剣に見劣りするのは避けられません。
学歴はその後の職歴で逆転出来ます。その例も見てきました。学歴フィルターに文句言う暇があるなら、その悔しさをバネに仕事歴で逆転を狙う方が良いと思います。
長く仕事を続けてきたが、やっぱり旧帝、早慶以上のかたは地頭がよく優秀な方が多い。
企業は利益追求集団で慈善活動ではないので、それに見合う能力は必要でしょう。